歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年07月16日(木) 約束を反故にした自民党古賀選対委員長

昨日、地元歯科医師会の某先生から伝え聞いた話です。

保険医療では、医療機関を受診した患者さんは、治療終了後、かかった医療費の自己負担分を支払ってもらいます。保険証にはどれくらい負担するか、負担割合が書いてあります。3割の自己負担の人が多いはずですが、中には2割や1割、生活保護の方の場合は負担が無い場合もあります。また、上限付きの定額払いの方もいます。
窓口で支払った残りの医療費は、患者さんが所属する健康保険組合へ請求するわけです。医療機関では月末を区切りにし、その月にかかった医療費の窓口負担分以外を診療報酬明細書(レセプト)にまとめ、社会保険の場合は各都道府県単位の社会保険支払基金へ国民健康保険や後期高齢者保険の場合は各都道府県単位の国民健康保険連合会へ提出することになっています。
このレセプトですが、これまでは紙で印字、または手書きしたものが主流でしたが、平成23年度からは全ての医療機関でオンラインによる請求が全ての保険医療機関で義務化されることになっています。
この義務化に対し、医療業界は猛反発しています。特に、これまで地域医療を支えてきた高齢の医師はレセプトオンライン化に対応することができないとして、レセプトオンライン化が全ての医療機関で義務化されれば保険医を辞めるか、廃業するしかないと宣言されている方が多く、その数は全ての医師の10%近くにまで達しているとされています。
現在、ただでさえ医師不足が叫ばれている中、10%近い医師が廃業するとなると地域医療は益々混迷を深め、成り立たなくなる可能性が極めて高いと言われています。

そのため、医師会や歯科医師会などは平成23年度からのレセプトオンライン化の手上げ化、すなわち義務化を取り下げるよう厚生労働省に訴え続けていますが、厚生労働省は全く聞く耳を持ちません。一度決めたことは必ず実施すると。医療の現状を詳しく説明しても全く理解してもらえない。
そこで、政治に訴えようと与党を中心にレセプトオンライン化の取り下げを与党の政治家を中心に働きかけてきました。

このような政治家の中に、今世間を騒がしている政治家の一人古賀誠自民党選挙対策委員長がいたのだとか。某医療関係の会合に招かれた古賀氏は、レセプトオンライン化義務化について、現状はよく存じていると言った上でこの述べたとされています。

「レセプトオンライン化義務化は法律で決められたものではありません。厚生労働省の省令です。いつでも変えることができます。先生方に迷惑をかけるようなことは決してありません。」

その古賀氏、レセプトオンライン化どころではなさそうで、自民党の選挙対策委員長の辞表をお出しになったそうですが、麻生総理を中心に必死に慰留されているのだとか。

誰が自民党のリーダーになっても今の自民党の混迷を抑えることはできないでしょう。それは自民党所属の議員が皆わかっているはずなのに、総裁を変えれば少しは来る選挙に有利になるのではないかという淡い希望を持っている輩が、いわゆる麻生おろしに一生懸命になっているようにしか思えません。

まあ、そんな自民党のゴタゴタは別にして、少なくとも今の与党自民党にレセプトオンライン化義務化反対を働きかけることはできないのは明白です。古賀氏の“先生方に迷惑をかけるようなことは決してありません”という発言は、実質反故にされたようなもの。今の自民党も先行き不透明ですが、医療の世界も今後ますます先行きが不透明になるのは確かかもしれません。


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