先日、ある患者さんから相談を受けました。
「仕事の都合で関東方面に転勤することになったのですが、信頼できる歯科矯正医を紹介してもらえないでしょうか?」
何でもこの患者さんの子供さんが近所の矯正歯科医院で矯正治療を受けていたそうですが、この患者さんの転勤のため、矯正治療を受けられなくなりそうなのです。まだ、矯正治療を受け始めて1年経過したばかり。 矯正治療の場合、1ヶ月〜3ヶ月に一度は受診しないといけません。この患者さんの場合、関西に戻ってくることができるのは、せいぜいお盆の時期かお正月の時期だけとのこと。今までの担当医が治療を行うことは困難です。それであれば関東方面の歯科矯正の先生に治療の続きをお願いしないといけないのですが、かかりつけの矯正治療の先生はこの患者さんの転居先近くに知っている矯正医がいないとのこと。自分が紹介できないので転居してから自分で探して欲しい。紹介状だけは書いておくからとのことだったのです。そのため、ご自身の歯の治療の際、僕に相談を持ちかけたようなのです。
正直言って、このような相談は僕も困ります。今住んでいる関西方面であれば、何人か自分の知り合いの歯科医、歯科矯正医がいますから、ここへ行けば良いと勧めることができるのですが、全く自分が知らない土地となると話は違います。今回の矯正の先生が言われることもよくわかるのです。自分で探して欲しいとしか言いようの無い場合が多いのです。
今回、僕は何気なくこの患者さんに転居先を聞いてみました。すると、某市○○区とのこと。この住所を聞いた途端、僕は思い当たるところがありました。そして、大学時代の同窓会名簿を調べてみると、そこには僕の大学時代の親友の一人が開業しているではありませんか?患者さんには一度調べてみると返事しておき、診療が終わってから僕はこの親友のところへ電話をかけてみました。
「突然誰からの電話かと思ったらそうさんじゃないか?いったい何用だい?」 学生時代と変らぬ話し振りに思わず懐かしくなりながらも事情を話すと、
「うん、それだったら僕がいつも紹介する矯正歯科医院を知らせるよ」とのこと。
メールで知らせてもらった矯正歯科医の住所を見てみると、そこは、なんとこの患者さんの転居先と同じ町内であることがわかりました。なんという偶然でしょう? 僕はこの患者さんにこのことを伝えると、大変喜んで下さいました。
「先生、有難うございます。ここなら安心して通えるところです。何も知らない土地ですから、転居する前から貴重な情報を教えてもらえるのはうれしい限りです!」
後日、今回世話になった友人にお礼のメールを送りました。するとメールの返信で
「どうだい、持つべきものは友だろう?この借りは高いぜ(笑)」
この秋、僕は関東の某所で学会発表をする予定なのですが、学会参加の日の夜は、この親友に食事をおごることになりそうです。
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