歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年05月26日(月) ”すみません”の意味を勘違いする人

自分が何か誤ったことを行ったり、過失があったりして相手に迷惑を掛けた時、相手に対して陳謝やお詫びの気持ちを表す言葉の一つとして
“すみません”
があります。

「○○をしてしまい、すみません。」
「約束の時間に間に合いませんでした。すみません。」

などなど。

“すみません”という言葉を言われると、言われた方も言った方が非のあることを認めることを表明しているようなものですから、機先を制せられるような所があり、少し感情的に攻撃的になっていた自分を収めざるをえなくなるところがあります。
僕自身、相手から“すみません”と言われると、ついつい一歩引いてしまう気持ちになってしまいそうなのですが、世の中にはこの“すみません”を逆手に取って行動しているのではないかと思いたくなるような人が少なからず存在するようです。

うちの歯科医院に来院する患者さんの中で、歯痛が生じたり、歯肉が腫れたりしないと来院しない患者さんがいます。それだけならまだいいのですが、この患者さん、歯痛や歯肉の腫れの応急処置を行い、症状が消えると全く来院しなくなるのです。
応急処置はあくまでも応急的に行うもので、本格的に原因治療を行うために何度かの来院が必要で、必ず何度かの来院をお願いするのですが、その度に、

「すみません、次は必ず来ます」
と言いながら、予約を取っても症状が無くなれば全く来院しないのです。

これまでこの患者さんには、何度も応急処置の意味と原因治療の大切さを説いているのですが、その度にこの患者さんは必ず

「すみません。」
と言う言葉だけは必ず言われるのです。

僕の独断ですが、この手の“すみません”の使い方をする人ほど、“すみません”の意味を考えずに使っているとしかいいようがありません。いくら相手にお願いをしたり、頭をさげても、その都度
「すみません」
を言っては梨のつぶてとしか言いようの無い態度を繰り返す。一体どんな精神構造をしているのでしょうか?“すみません”をその場しのぎに使っているのでしょうか?それとも、“すみません”の意味を何も考えずに使っているだけでしょうか?

どうもこの手の人は“すみません”を連発しながら相手が自分を責めることを防ぎ、マイペースを貫く主義なのかもしれません。これも一種の相手の攻撃から自分を守るリスクマネージメントなのかもしれませんが、“すみません”の本当の意味を知っていれば、このような言い訳がましい“すみません”はできないはずです。“すみません”の後には、自分が至らなかった点を反省し、自分が犯したミスや行為を繰り返さない態度、行動を示さなければならないと思うのですが、“すみません”を言いながら何もしない人というのは、確信犯的に問題の本質から自らを避けている、言い逃れているようにしか思えません。

僕自身、この患者さんに対し感情的になって大声で怒鳴ってやろうかと思ったことが多々あります。しかしながら、そう言えば言ったで相手はなおさら“すみません”を繰り返すのが関の山だと思い、押し留めています。いつになったら事の重大さに気がついてくれるのでしょう?自分の体の管理に関しては自己責任です。“すみません”を言い続けながら、何も改善しようとしないのであれば、最終的な責めを負うのは自分自身。治療をする側としては、何度でも我慢強く、手遅れになるまでに相手が気がついてくれるよう、地道に説得していくしか手が無いのかもしれません。


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