歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年01月23日(水) 治療前、歯磨きをして欲しい!

先日、ある初診の患者さんの口の中を調べようと口を開けてもらった時、僕は愕然としました。その理由とは、口の中にある歯が食べかすや歯垢で被われていたからです。口の中が大変汚れていることや患者さんの口の中に対する意識の低さは充分にわかったのですが、あまりにも汚れていたため、それぞれの歯について正確に診査、診断することはできませんでした。僕が最初にしなければいけなかったことは、患者さんの口の中の汚れを取り除く歯磨きだったのです。

歯医者は歯を治療するのが仕事だろう?、歯が汚れていれば歯を掃除するのも歯医者の仕事じゃないか?

そのように思われる方もいるかもしれません。確かに一理あることかもしれませんが、僕は患者さんには、治療前は歯磨きをして欲しいと願っています。

歯科医院では毎日限られた時間で何人もの患者さんを治療しています。来院してくれる患者さんを待たせることなく適切な処置を行うためには、できるだけ時間を効率的に使いたいものですが、歯が汚れているとせっかく治療をしても歯の汚れのために治療がうまくいかなくなります。
泥だらけの手に出血した傷があった場合、泥を取り除かずそのままガーゼを張ろうとしても不潔なだけで傷の治りに時間がかかるもの。まずは、傷の周囲の汚れを取り、消毒をしてから適切な薬を塗ったガーゼを患部に当てることが適切な治療であることは明らかです。歯の治療もこれと同じです。治療前に歯が汚れていると、せっかく治療をしても治療の効果が期待できないのです。そのため、治療前は歯磨きをすることが大切なのですが、限られた時間で多くの患者さんを治療する現状では、歯医者が一人一人の患者さんに歯磨きをする時間的余裕が無いのが現状です。そのため、患者さんには治療前に歯を磨いて欲しいのです。うちの歯科医院では、受付窓口に治療前の歯磨きをお願いする掲示をしています。多くの歯科医院でも同様のお願いをしているはずです。

歯医者も人間です。きれいな口の中を見れば気持ちよく感じるものですが、汚れた口の中を見るとあまり良い印象を持ちません。このようなこと書くと、口の中の治療をする専門家として失格かもしれませんが、口に出さなくても歯医者が感じる本音の一つなのです。自分の口の中を見てもらうわけですから、治療前に患者さんには、一種の礼儀、エチケットとして歯を磨いて欲しいのです。
お互いに握手をする際、相手が泥の一杯ついた手を差し出したらどうでしょう?握手できますか?握手する相手のことを考えれば、泥を洗い流した清潔な手で握手をするのが相手に対する礼儀、エチケットではないでしょうか?口の中の治療を受ける前の患者さんと歯医者の関係もこれと同じだと考えます。

皆さんにおかれましては、歯の治療を受けられる機会がありましたら、是非とも治療前は歯磨きをお願いしたいと思います。


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