気がつきゃライブの時間だぜ
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2011年01月24日(月)   ◎アルバム「悪魔のささやき〜心に火を灯す旅〜」を斬る


 いや〜、素晴らしいアルバムが出ましたね。
 ユニバーサル以降の曲に、やや物足らなさを感じ、
 もやもやしていた方々も
 かなり納得出来る内容だったのではないでしょうか。

 実際、最近の曲やアルバムやライブで不満をもらしていた友人が、
 やっと満足出来た、と話していましたしね。

 わたしも、宮本さんが、
 自分の中にある影の部分をいとおしみ、
 それがあってこその自分だと話されていたことに
 深く感銘、感動し、
 思わず涙ぐんでしまったくらいです。

 そして、光と影をあぶりだしたようなこのアルバム。
 蔦谷さんと作りあげた曲、
 バンドで作り上げた曲、
 「俺の部屋」で録音された宮本さん一人が作り上げた曲。
 まさに、宮本浩次の陰と陽を編み上げたかのような、
 素晴らしいアルバムですよね。


 しかし。
 わたしは、この、素晴らしいアルバムを今から斬ろうと思います。



 最初に聞いた時は、ほんとに感動しました。
 宮本さんが言ってる通り、
 影の部分を示す曲と一緒に収められることで
 シングルの曲たちも、
 重さや渋さや、より一層の輝きをも放ち、
 わたしの心に響いてきました。

 そんな光のあいまを縫うかのような、
 悪魔の歌声、
 あるいは誰も入り込めない宮本浩次だけの世界。

 感無量でありました。


 でも、何度か聞くうちに
 どうもすんなり流れないものを感じました。

 この感覚は、以前にもあった。
 そうだ、アルバム「風」だ。


 「風」というアルバムは、
 わたしには、1曲1曲はほんとうに好きな曲なんですが、
 アルバムとして聞いた時に
 なんかまとまりの取れていない、
 あっち向いたり、こっち向いたりのアルバムのような気がしました。

 シャッフルで聞いたら、
 きっと1曲ずつは満足できるのでしょうけど
 アルバムとして聞いた時には どうもすっきり落ちない。

 そんな感覚でした。


 (わたしは、エレファントカシマシにおいては、
  シャッフルで聞くことはしません。
  アルバムという単位で聞くことを基本にしています)



 この新しいアルバムにも、なんかそれに近いものを
 どこかで微かに感じました。

 1曲1曲は、気絶するくらいにすきなんですが、
 どういうんかな、
 いいとか悪いとかじゃなくて
 すごく アソート的な、盛り合わせ的なもの。

 あれもこれもあって お得やん、って気持ちと、
 やっぱりアルバムとして出すんやったら
 一本通ったテーマってもんがいるんとちゃうか、って気持ちが
 出たり入ったりしています。

 
 で、そんなことを感じながらふと思いだしたのは、
 「風」というアルバムは、
 契約上、何年間で何枚のアルバムを出す、みたいなのがあって
 それを満たすために、
 前のアルバムから半年くらいの期間で出された
 アルバムだったということです。

 わたしの感覚では、
 非常に練られた曲と、このあたりでいいか的な曲が
 入り混じっているように感じました。

 ここらあたり、
 何日までにアルバムを出す、という予定が先にあって
 それになんとか間に合わせて製作したものなのかな、と。


 で、「悪魔のささやき」ですけど、
 これも、アルバムの発売日が告知された時、
 びっくりしましたよね。

 まだ、録音してるとかって情報があったのに
 1ヶ月後くらいに発売ってことでしたもんね。

 ほんとうだったら、もうこの時期は、
 がんがんプロモーションに入ってるはずなのに
 大丈夫かいな、と思いました。

 なんせ、アルバムの発売が何度も延期された経験を持つ者としては
 そのへんの危惧もしました。

 だけど、ツアーはせまってるし、
 やっぱり、ツアーでアルバム売らなかんやろし、
 なんとかツアー初日までには間に合わすつもりなんかな、とか
 いろいろ思いました。

 そして、無事発売。

 どの曲も、本当に素晴らしいと思います。
 だけど、正直なところ、
 もっと練り上げることの出来た曲もあったのではないか、と感じます。

 そこのところが、
 このアルバムをアソート的なものにしてしまっているのではないかな、と
 頭の片隅で感じてしまうことがあります。



 わたしは、このアルバムがだいすきです。
 何度聞いても飽きませんし、
 ユニバーサルから出た3枚のアルバムの中では、
 ダントツの濃さで再生していると思います。

 でも、音楽的な角度からみれば、
 わたしは、「STARTING OVER」 「昇れる太陽」 の方が
 しっかりとした下地に基づいて作られている気がします。

 アルバムらしいアルバムであると思います。


 しかし、そんな安定感のなさが魅力だと言われればそれまでだし、
 わたしもその意見に同意します。

 そして、なんともつかみきれない宮本さん自身が表されてると思えば
 もう、完璧なアルバムですよね。


 ただ、もしも、「悪魔のささやき」が、
 日程に追われて作り上げられた部分があったのだとしたら・・・・
 もっともっと練り上げられる部分があったのだとしたら・・・・




 ・・・・そんなことは、ない。

 雀の鳴き声ひとつにも すごくこだわったんだから、
 曲で妥協を残すなんてこと、宮本さんがするはずない。

 きっとそうです。
 


 大変失礼いたしました。

 これは、言わばわたしの影の部分です。
 影の部分をきちんと表しておかないと
 次に進めないような気がする。

 まさにそんな気持ちでこれを書きました。

 もう忘れてください。

 お気を悪くされた方がいたら、心からお詫びいたします。
 申し訳ありませんでした。

   
 


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