気がつきゃライブの時間だぜ
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2007年02月10日(土)   ◎笑福亭福笑一門会@天満天神繁昌亭

 
 二度目の繁昌亭。
 今夜は 笑福亭福笑一門会です。

 一門会といっても お弟子さんは笑福亭たまひとりだけ。
 こんな地味な一門会、ほんまに成り立つんかいな、
 と思っていたら、
 なんとまあ、SOLD OUT。

 当日は 1階は補助席、2階は立ち見がぎっしりという
 大盛況でした。

 わたしは こんなに福笑さんが人気あるなんて
 全然しりませんでした。

 ほんと びっくりです。



 最初は お弟子さんのたまさんです。

 福笑さんに弟子入りして
 こうしてやってこれてる、っていうそれだけでも
 この人 なかなかの人やで、
 と思っていたのですけど
 ほんまになかなかでした。

 演目は 「くっしゃみ講釈」。

 偶然ではあるのですが、
 この講釈師に恋路をじゃまされた男が
 逆恨みして
 講釈師の前で 火鉢に唐辛子を入れて
 くしゃみを出させ 講釈を邪魔するという
 ま、どたばたものです。

 講釈をしながら くしゃみをするところが面白いんですけど、
 たまさんの演じ方が そこんとこ すごくかわいくて
 好感を持ちました。


 この方、なかなか端正な見栄えで
 声の感じは 小枝さんに似てるかなと思います。

 
 どたばたものなのに
 どことなく品があって 理知的な雰囲気があって
 あとで知ったんですけど
 京大卒なんだそうです。

 なるほどね。

 
 京大出て、福笑さんに弟子入りか。
 ここにも 親を泣かせたやつがいるわけや。


 たまさんの着物は 紅色で 半襟が黒、帯がチャコールグレーでした。




 
 さて 次は笑福亭福笑師匠!

 「佃くずし」 のお囃子に乗って
 パステル調の黄緑 (地模様がはいってました) の着物に
 レモンイエローの羽織で 福笑さんが登場すると
 やんややんやの拍手喝さい!!

 高座に座っても 全然拍手は鳴り止みません。

 福笑さんが まあまあまあ・・・みたいに
 手で拍手を制して ようやく鳴り止みました。


 なんか ものすごい感動しました。
 こんなに愛されてる噺家さんとは 知りませんでした。


 一席目は 古典落語で 「江戸荒物」。

 江戸帰りの男が 江戸っ子を装って荒物屋をやる噺です。

 
 そしたら ほんとの江戸っ子がやって来て
 
 「てめえんち たわし あるかい。」

 って言うんですが、
 その頃の大阪では たわしのことは
 きりわら、って言ったそうで
 たわしがなんだかわからなくて あたふたするみたいな、
 そんな噺です。

 福笑さんのエセ江戸弁が おもしろかったです。





 次は 再びたまさん。

 着物は 白と紺のおおきなストライプの羽織と着物、
 羽織のふさは 赤色です。

 なんか すごい派手でびっくりしました。
 着物もネタなんかなあ、と思いました。

 で、噺は 「船弁慶」。

 これは こわ〜いおかみさんを持った男が
 友人に誘われて
 友人にうまいこと言うてもらって (つまりウソついて)
 難波橋へ夕涼みの舟遊びに来るのですが、

 酒に酔って 船の舳先で踊っているうちに
 たまたま通りかかったおかみさんに見つけられて・・・・

 みたいな噺です。


 噺は知っていたのですが、
 生で聞いたのは初めてでした。

 たまさん、もうからだを張っての大熱演。

 こんなに派手な噺とは知りませんでした。

 ていうか、福笑版「船弁慶」が 
 ハイテンションなのかもしれません。

 もう 終わりの方は 演技も入っていたとは思いますが、 
 息も絶え絶え状態でした。

 そして サゲを言ったあと、
 少しふらつきながら 帰って行かれました。


 さすが 福笑さんのお弟子さん、
 学歴があって 品があっても
 破滅のにおいがしますねえ・・・・。


 ああ、そうそう、
 さっきの着物のことですけど、
 この噺は夏の話で
 
 「あ〜、暑いなあ!」

 って うちわを使う所作の時などには
 ストライプの着物が 涼しげな浴衣に見えました。

 ああ、そのへんのこと考えてはったんか、と思いました。




 で、もう一回、福笑さん。

 今度の着物は 先とおなじ黄緑にグレーの羽織でした。


 噺は 新作落語で 「ミナミの旅」。

 おっちゃんがふたり、
 アメリカ村へジーパンを買いにいく話です。

 
 そこで いまどきのミナミの風潮に
 怒り、怒鳴り、説教するのです。


 ラーメン屋のところがおもしろかったです。

 行列の出来ているラーメン屋で
 「チャーシューメン。」
 と注文すると 店員さんが

 「うち、ラーメンだけなんです。
  みな 承知で来てくれてはるんで。」

 というその言葉に キレる、キレる。


 「なんや、そのものの言いよう。
  ほんなら おまえとこは知ってるもんしか来られへんのか!
  一見さんお断りか!
  それならそうと 書いとけ!
 
  せやなかったら 
  すんません、うちラーメンしかやってないんですわ、
  って それくらのことが言えんのか!」


 さんざん怒ってビビらせて

 「わかったら 豚饅としゅうまい 持って来い!」

 連れの方が

 「おい、ラーメンしかない言うてるがな。」

 と言うと、

 「ここ まっすぐ行ったら右っかわに 551の蓬莱ある。
  出前してもらえ。」

 と、もう最後はめちゃくちゃです。



 でも、わかるわあ〜、この気持ち。
 客の方が びくびくしなあかん店、結構あるもんねえ。

 なんでやねん、って思うねんけど。

 
 なんかね、これ聞いてて すかっとしました。

 しっかし、PUNKやわ、この人。
 だいすき、やっぱり。




 で、中入りがあって、最後は福笑さん。

 上品なレンガ色の着物で登場。



 演目は古典で 「ちしゃ医者」 です。


 実はね、この噺、
 数ヶ月前に別の演者で聞いたんですよ。

 これも かなりめちゃくちゃな噺で
 すっごい藪医者が
 肥えたんごかかえて 籠にのるはめとなって
 籠がゆれるたびに たっぷん・・・。

 「うわ〜、顔についた〜!」


 最後は 間違えて 
 その桶の中に 頭突っ込まれて―・・・・。



 ひえ〜、なんちゅうきたない話や〜!!


 
 それで その数ヶ月前の時は
 いったいまったくどないな話やねん、
 なんかきたなすぎて もうええわ、って
 ちょっと うんざりしたんですよ。


 で、演目みたら 今日も 「ちしゃ医者」 があって
 わたしは おいおい、またかい、って思うと同時に

 もし今日この噺で わたしが笑えたとしたら
 それは 一にも二にも福笑さんの腕やな、
 さあ、いったい どんなもんやろ、
 と ある意味 楽しみにしていました。




 果たして。




 笑いました、思いっきり笑いました。

 お腹かかえて 大爆笑しました。



 噺の途中で福笑さんは

 「こういうきたない話は とことんまでいかなあかんねん。
  中途半端にやると ぷ―んとにおいますねん。
  最後まで振り切ってしもたら 
  かえって いいにおいしてくるねん。」

 と言うてはりましたが、
 ほんまに その通りをでした。


 
 そのとことんいったきたなさに
 あるところで見かけたブログには
 「神々しささえ感じる」 と書かれていましたが、
 まさにそんな感じでした。


 ほんまにそんな感じでした。




 もうこれで決定です。

 わたしは 笑福亭福笑師匠がだいすきです。

 いや、惚れました。


 身も心も捧げつくします!







 追伸・こんな噺家さんを選んで弟子入りした
     たまさんも だいすきになりました!





 


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