今日のブルー
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2007年09月30日(日) シッコ見て来たよ



マイケル・ムーアの新作です。
彼の華氏911は批判も多く見られたけど
私はひとつもまだ批判として納得させられる文や言葉にあったことがありません。
だってブッシュが今世界中からどう見られてる?
マリリン・マンソンを持ち上げ過ぎてしまったミスはあったと思うけれど。
(マリリン・マンソンの言動は逃げにしか見えない。
ロックはとことん死んだ、という発言もあなたが逃げただけでしょう、って思う。
親分はずっと残って闘ってるわけだから)

そんでシッコは医療問題を扱っているのでこれは誰にとっても切実。
アメリカ人じゃなくとももし、何も考えずアメリカへ旅行してケガをしたとします。
数日の入院で数百万ぶんどられるかお金がないと治療拒否されて
最悪見殺し!なんて国なんだか。
日本もそうなりつつあるのでこわいです。
人間扱いされないのですから。
赤ん坊が死にかけてても重傷でも保険会社の許可がなきゃ門前払い。
保険会社指定の病院へたどり着いた頃患者は亡くなっている。
そんなケースが日常茶飯事になっている。
フランスもイギリスもキューバもカナダもそんなことはしない。
五月のNINツアー中トレント・レズナーの言った
「ブッシュは悪魔だ」
がおおげさでもなんでもないと思わされます。

そういえばブッシュが数日前キューバのカストロ議長を独裁者と罵った。
私は最近仕事でカストロとチェ・ゲバラに関わって彼等を可能な限り調べまくりました。
そして思った。



『ブッシュ、おまえが言うなあああああ!』



キューバ危機やキューバ革命の当時、たくさんの国がキューバを翻弄しました。
アメリカ、ロシア、中国、スペイン...
今どこの指導者が当時のまま残って支持されてる?皆消えちゃったよ。
ケネディも毛沢東もフルシチョフも。

マイケル・ムーアはキューバを「僕らを殺そうとした国」と呼んだ。
(つまりアメリカはそう彼等に教え込んだのです)
だけどキューバはかつてスペインに元のキューバ人がほぼ全滅するまで
殺戮されて今のキューバ人は移民がほとんど。
ただでさえ東京の非武装民間人を大量に焼き払ってついでにふたつもヒロシマと
ナガサキに人類史上最悪の兵器を落としたアメリカに
小さな国が抵抗するには核までいかないとまた民族全滅の危機まできてた。
ロシアが「うちが核都合しちゃるけん、任せとき」と弱み利用してすがった、という方が
正しいと思います。



(原爆投下についてはなんぼ真珠湾の仕返しと言ってもひどすぎ。
人間のやる事じゃない。
太平洋戦争の責任だなんて言って民間人をあそこまで殺戮し街を吹き飛ばすのは
絶対に人間として間違っていると思う。戦争はキチガイなもんだけど核まで行ったら
地球規模で激ヤバだからそこまでやってはいけないのです。
ヒロシマ、ナガサキはその間違いのサンプルとして私達を見よ、と
言い続けるべきじゃないでしょうか。
アメリカは原爆落とした後ですらキューバ危機の際、核ミサイルの防御として
子供たちを机の下に潜らせていたくらいだからどれだけ核についてわかってないか
ゾっとします)

で、アメリカ国民を核ミサイルで殺そうとした国の指導者は
ふたりともヒロシマを訪れて、驚いた事に
キューバの人々の多くは原爆投下の日をほとんどが言えるのです。
ゲバラは来日の際、ヒロシマ行きを希望して政府に断られそんならと
勝手に自分らで電車に乗って行っちゃったような人です。
一国の大臣が電車乗り継いで行くんだもの(笑)
そして彼は帰って原爆の事をキューバの教育に組み込み教え続けている。
そんな人々が好き好んで核攻撃をするとは信じ難いのです。
核が人類史上最悪の兵器だとわかってる人々だったと私は考えています。
ちなみにゲバラはヒロシマでこう言いました。

「あなたがたはアメリカにここまでされて、何故なお従うのか」


アメリカ人の多くはお人好しで素直な人達だけど『シッコ』になっちゃうとこまで
付き合うのはやめたがええと私も思う。
マイケル・ムーアも「僕らを殺そうとした国」と呼びつつ
アメリカ人の治療を受けられない人々(911の救助活動をした人々すら!)
をキューバに連れて行きとても安価できちんと治療を施している
キューバの医療機関の姿を撮っています。
薬の値段を聞いたアメリカ人が泣き出してしまったのが切ない。
がんや心臓疾患の医療費の為破産までしてしまった人々ですから。
ゲバラやカストロは敵でも傷ついたものは治療して解放することが多かった。
キューバの医療制度はその精神がそのまま今も維持されています。
正しいのはブッシュなんかじゃ断じてない。
そういうことをきちんとムーアは『シッコ』で語っているので信じていいと思う。
あちこちの国でアメリカの医療制度について笑い者になっている自分達を撮っている。
「治療すればするほど医師は報酬を得るんだ」と語ったのイギリスだったっけ?
アメリカは『治療を拒否して治療費を浮かせる程報酬を得る』

日本も明日はそうなってるかもしれない。
(どこの国も共通の問題として弱者のふりして恩恵を横取りする存在もあるから
一概に平等万歳と言うのも違う気がして難しいわけですが。
皆が勤勉なんてロボットでもない限りあり得ん(^^;)



こわい映画でした。
見るべき映画だなあと思う。その直後同じ劇場で『デス・プルーフ』ってアホ映画見て
拍手喝采しちゃったけど(笑)
アメリカって極端な物が同時に公開されるって良さはまだ残ってるんだなあと
少しホっとしました。
しかし最近キューバニュース、よく耳に入ってきますね...
カストロが亡くなったらどうなっちゃうんだろうか。
きっと若きゲバラが迎えに来るんだろうけど、彼等は何思って
この世界から去って行くんだろう...





そうそう、ムーアが儲かったり映画が当たったりしてる事を批判してる人々に思う。
いい事をして儲かって何故悪いんでしょう?
多くの人にとっていい事をする事で利益が出れば他の人々も続くでしょう。
ひとりじゃ出来る事は小さいです。
だけどいい事で喰っていける前例が生まれればそれって増えて行く。
そうやって少しずつ世界が変わってけば一番いいと思うのですが...
楽しませたり必要な情報をうまく伝えてくってのは
とてもとても大事な事だと思う。
難解で小難しく退屈なものはえらくもなんともないと思うんだけども。
豊かで深いものはまた別だけど。




                                   


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