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2006年07月15日(土) 明日の神話(岡本太郎)

本日は日記。

東京汐留にて見て来ました。
見てたら変な自主制作映画小僧が
ステージに上がり込みかけて
取り押さえられていた。
そんで同日移動した秋葉原でも同じ奴が暴れてて
今度は警察に連行されてってしみじみしました。

解説イヤなんで太郎さんの養女敏子さんの
言葉くっつけます。






岡本敏子のメッセージ〜明日の神話によせて
(この文章は岡本敏子の逝去前に記されました)

『明日の神話』は原爆の炸裂する瞬間を描いた、
岡本太郎の最大、最高の傑作である。
猛烈な破壊力を持つ凶悪なきのこ雲はむくむくと増殖し、
その下で骸骨が燃えあがっている。
悲惨な残酷な瞬間。
逃げまどう無辜の生きものたち。






虫も魚も動物も、わらわらと画面の外に逃げ出そうと、
健気に力をふりしぼっている。
第五福竜丸は何も知らずに、
死の灰を浴びながら鮪を引っ張っている。

中心に燃えあがる骸骨の背後にも、シルエットになって、
亡者の行列が小さな炎を噴きあげながら無限に続いてゆく。
その上に更に襲いかかる凶々しい黒い雲。
悲劇の世界だ。




だがこれはいわゆる原爆図のように、ただ惨めな、酷い、
被害者の絵ではない。
燃えあがる骸骨の、何という美しさ、高貴さ。
巨大画面を圧してひろがる炎の舞の
優美とさえ言いたくなる鮮烈な赤。

にょきにょき増殖してゆくきのこ雲も、
末端の方は生まれたばかりの赤ちゃんだから、無邪気な顔で
びっくりしたように下界を見つめている。



外に向かって激しく放射する構図。
強烈な原色。
画面全体が哄笑している。
悲劇に負けていない。
あの凶々しい破壊の力が炸裂した瞬間に、
それと拮抗する激しさ、力強さで人間の誇り、
純粋な憤りが燃えあがる。




タイトル『明日の神話』は象徴的だ。
その瞬間は、死と、破壊と、
不毛だけをまき散らしたのではない。

残酷な悲劇を内包しながら、その瞬間
誇らかに『明日の神話』が生まれるのだ。
岡本太郎はそう信じた。

この絵は彼の痛切なメッセージだ。
絵でなければ表現できない、伝えられない、
純一・透明な叫びだ。

この純粋さ。リリカルと言いたいほど切々と激しい。
二十一世紀は行方の見えない不安定な時代だ。
テロ、報復、果てしない殺戮、核拡散、ウィルスは
不気味にひろがり、地球は回復不能な破滅の道に
つき進んでいるように見える。

こういう時代に、この絵が発するメッセージは強く、鋭い。

負けないぞ。
絵全体が高らかに哄笑し、
誇り高く炸裂している。

岡本敏子



岡本太郎オフィシャルサイトより敏子さんの文章を
引用させてもらいました。






ぜひ実物ば見ておくんなまし。
8/31まで汐留日本テレビにて公開中。
しかし、Be TAROなんて
チャラいキャッチコピーはいらんと思った。

『明日の神話』で充分じゃい。



                                   


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