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2011年02月21日(月)
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テンペスト@赤坂ACTシアター 2/18ソワレ
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感想を思いつくままに。
映像とナレーションを多用した演出に賛否両論あるのは事前に把握済み。 見終えて、あの原作を3時間の舞台に纏めるには悪くない選択肢との感想。 が、時代背景は背景説明のみならず、心情説明にまで及んだのは過剰かと。 実力のある役者を揃えたのなら、もっと信頼してもよろしいのでは。
下手の2列目だったので映像を楽しむには近すぎたのが残念。 だが、逆に2階席だったらかなり見やすかったはずで、役者の表情が見えない席であっても、 舞台を楽しむことが出来るという意味で、多彩な楽しみ方を持った思いやりのある演出とも言える。
総じて、安っぽいと言えば安っぽいがまんべんなく楽しみをちりばめた、まさに大衆演劇。 題材が"女の人生ませごはん"だから、合っていたように思う。
次に役者陣。
まず主演。 熱演だけれども、そして琉球という題材には合っていたが、ミスキャストだと思う。 (というかまず主演ありきの企画だろうから、ミスは題材の選定にあったかと) 彼女の魅力は揺るぎのなさで、(立ち位置が真っ当だと正統派美人になり、ちょっと変な人だと、それはそれで真っ直ぐに付きとおすのでシュールになるのだが、)回りがきょときょとうろうろする中、彼女は言わば扇の要、というのが私の中での彼女の定番。というか他の人には中々出せない特長。
男女二役の今回の役は常の彼女の立ち位置から外れる。 しかも"男女二役を演じ分ける。"という宣伝でしたが、案の上(※)演じ分けられていないやん。 (※予想はしていた。彼女はそれほど器用な役者じゃない。彼女も持ち味は変わらなさにあるのだから)
まぁ、以前松たか子の男女二役があまりにすごく、もう、憑依したかのように別人で、役者の身体表現力の素晴らしさに驚愕した経験がある故、私の中での合格基準が高いのだろうな。 松たか子の二役は声も姿勢も全くの別人だった。 あのレベルならば回りが同一人物と気付かないことにも説得力があろうが。 実際、事前情報を全く知らなかった同行者は途中まで本当に別人だと思っていた。 (ヴェネチアカーニバルのような仮面をかぶっていたので顔が見えなったのだ)
つまり、物語の軸である"男女二役の演じ分け"が成り立っていないので、何とはなしに舞台に締りがない。 琉球をテーマはよし、女の一代記というテーマもよし、何かそれでもっといい作品合ったら良かったのに、と思った。 将来『放浪記』やり続けるのはどうですかね。
あと、事前感想で"顔が小さくて華奢"と書いているのが幾つかあって、 「そうかな?そういう印象ないけど、生で見たらちがうのかしら?」と思って行ったが・・・、 やはり華奢とは露ほども思わず。 「生で見ても、どっしりしている。」との感想。
それはぷよっているという否定的な意味合いではなく、 つまり、彼女の魅力は女神性、それも地母神的な、例えばギリシャ神話の穀物と豊穣の女神デルメル にあると思っているから。 エネルギーと包容力を持った、チャクラで言えば第一と第二が強く、 つまり腰が浮ついていない安定感が持ち味。 精神的にもそうだし、あぁやっぱり体格って精神を体現するものだと思った。
念のため、同行者にも聴いた。「彼女華奢だと思った?」 「いや、むしろ逞しいと思った。特に腰回り。顔の大きさも普通かと。」 うん。だよね。 何だったのだろう。あの感想は。現住所がトンガとか。
肌がTVに宣伝で出ていた時からさらに荒れていて、本当に大変なんだろうなと思った。 が揺るがないのは流石。 あ、あと琉球舞踊も別格に流麗。 琉球の土地のパワーを足裏から身体に取りこんで踊る古代の女神性・巫女性を感じた。 ルーツは太平洋か?ハワイのフラにも通じる感じ。
生瀬さんはもう。 どんなシーンを演じても舞台を自分の色に染めるパワーが別格。 一番感情移入が出来たし引きこまれた。
福士誠治くんは予想以上に素晴らしい。 おねぇと男を軽やかに演じ分け、声の通りも良く、身のこなしも色っぽい。 あんなに力量のある人とは思わず。 失礼ながら軽んじておりました。すまん。
やすけんも素晴らしかった。 プライド高くて小心で、でも、心の奥底には熱い男気がある。 短い時間なのに人物の奥行きまできっちりと描き出す。
台本をきっちり咀嚼する解読力に加え、それを台詞から間合いから全てに体現する表現力があるのだろう。 かつぜつの切れにもほれぼれした。
福士誠治くん・やすけんとクレ順が同格だった国王役。 努力は認めるが、バーターだからやむを得ないとは言え、幾らなんでも台詞が軽い。 おかげで2役がばれるクライマックスシーンの迫力が半減。
下手な役者だとこうなるかと、他の役者が一見普通にこなしていることの価値を気付かせてくれた という意味で絶妙な配役かと。
そして、チケットを取った理由:山本耕史さん。 事前の感想は大きく"イケメン"、"歌が上手い"、"土方ーっ"の3種類で、私の感想もほぼ同じ。 少女マンガの王子様という、非常にご都合主義で笑っちまう二枚目を誠実に演じていたように思う。
殺陣シーンと最後の土方ーっ!でもう満足です。 歌が上手いってあの程度で言われてても、という気もするが、多くの人が知る機会を得たのは良かった。 ・・・ほんいきの時はもっと凄いけどな。
実は楽日のチケットもあり、なんかもうどうでもいいかなという気持ちもなくはないが、 (つまり舞台としては一度見ればいいや・・・と言っている) 福士くんのおねぇ(背中のラインが優美)と生瀬さんの切なさと舞台掌握力のオーラと、 一番楽しそうな西岡とくまさんと、そしてもちろん、山本さんの殺陣シーンと土方を見るために行くか。
って、こういう風に。 ひいきの役者のお気に入りのシーンを見に行くという観劇姿勢は、江戸時代の歌舞伎の見方らしくて、 (つまり、普段お弁当食べたり話したりしていて、「あ、このシーンの染様素敵だから、ここ見る」と舞台に目をやる、という見かただったらしい) そういう意味で、この大衆演劇の見かたとしてはこの上なく正しいという気もしているのでした。
alain
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