オニヤンマのメスです。まだ 目の光を失っていませんが、もう 一生を全うし、命が燃え尽きるの を待っているところです。午前中 に道路で見つけ、車にでもつぶさ れれば傷ましかろうと拾い上げ、 写真を撮って土の上に置いてやりました。夕方には 蟻たちにたかられ、少しずつ解体されていました。 ちょっと羨ましく思いました。
人間は土に帰るのに随分手間とお金がかかります。 日本で弔う限り、神式にしろ、仏式にしろ、散骨に しろ、まずもって火葬という焼成からは逃れられず、 ただ黙って虫や動物に解体され、食われ、消化され て他の生物の役にたって土に帰ることはできません。
死ぬるときは斯くも潔くありたいと手を合わせました。
どこかで産卵を終えて、 静かに寿命を待っているのでしょう。
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