陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2011年04月06日(水)      大人口

『私は辛いものが苦手です』 と言うと、多くの方が
「へえ、見かけによらず、お子様口なんですねぁ」 など
と仰います。そのたびに、この人は大人のくせに何と
短絡的なことだろうと思います。確かに子供は辛い
ものを好みませんが、だからといって辛い味が苦手
な人をお子様扱いするというのは直截に過ぎます。

 元来日本人は特に辛いものを
 食べてきた民俗ではありません。
 タイやインド南部のように香辛料
 が発達した熱帯性の気候でもあり
 ません。畢竟辛いものが苦手でも
 何の不思議も無いはずです。逆に
 熱帯気候の子供たちが小さなころ
 から香辛料に慣れて辛さに強いの
も道理で、タイのそれも東北部の子供たちは驚くほど
辛いものを食べるのだと聞いたことがあります。
至極、自然なことです。

僭越乍ら私は自分の味覚をかなり成熟した大人の感覚
であると自負しています。素材の味をきちんと尊重し、
だしの旨味を理解し、塩や発酵調味料の味がある程度
利きわけられます。何より、食べることは生きることと
考え、食事をとても大事にし、いただく命を尊重して
日々真摯に向き合っています。

敢えて言わせていただきましょう。辛さや刺激だけで
喜んでいる方や、極端に冷えた食品などを好んでいる
人こそ、幼稚な味覚の持ち主でしょう。香辛料も適宜
に使ってこそ、料理も生きるというものです。

と、ムキになってくどくど言っている私の口は、
 『こども』 を通り越して 『ガキ口』 でしょうなあ。

カレーの王子様の一ランク上
『とろけるカレー』





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