人類は便利な道具を発明し活用する度に利便性と裏腹な、 そのネガティブな側面もこき混ぜて享受してきました。刃物 を持てば切り傷に気をつけ、火を扱えば火傷を覚悟し、自動 車、飛行機、宇宙船といった乗り物には事故が付きまとうも のの、人は決してそれを手放すことはせず、安全に使うため のノウハウを蓄積してきました。振り返れば多くの犠牲の上 に文明は成り立っています。
今回の大震災が天災であるとはいえ、福島第一原子力発電 所の窮地は国難であるとともに、恐ろしすぎる事故です。然し ながら、これを発明し、作り、運転を始めたのは他ならない 人間です。国、地方自治体、当該地区の住民、皆が関わって 色々な利害が絡んで多くの方の賛同で建設された施設です。 大きな大きな危険を孕む施設ですが、刃物や乗り物同様に 安全に使うことができるはずだと信じて使い始めたものです。
少数の良識派が計画初期に地震国日本での原発立地の不安 を説きましたが、発電所は林立しました。しかしこれも人間の 決めたことですから、事故も甘んじて受けるのが道具を使う 者の宿命でしょう。ただし、この場合の被害は広範囲にわたり むごすぎます。国と東電には、被害を最小限に食い止めてほ しいです。いずれ福島原発は廃炉になるのでしょうが、この 事故を教訓に、今後の原子力発電のありかたについて、日本 人は大いなる議論をするべきでしょう。
災害は決して天罰などではありません。文明が直面する試練 だと思います。つらいことですが、学ぶことも多いはずです。
さよなら原発神戸ネットワーク
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