陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2011年02月21日(月)      し ぼ

 江戸風俗研究家の杉浦日向子さんが
 亡くなられて今年の夏で6年になります。
 お会いしたこともない一方的な思慕でし
 たが、今でもその著書を大事に宝として
 います。ネット上には杉浦さんの肖像が
 たくさんあがっていますが、モノクロの
 この画像が一等好きです。根拠はありま
 せんが、これが杉浦さんのいや鈴木順子
 さんの、素ではないかと思うからです。
鷺沼のおそば屋さん 『よしみや』 さんに伺うきっかけに
なった本 『ソバ屋で憩う』 のまえがきは、野暮天の私には
衝撃的でした。かいつまんで引用すると 『ソバ好きのちょいと
生意気な子どもはこの本を閉じなさい。腹ペコの青春諸君も
この先は読まなくていい。デートや接待の情報収集の貴方に
もこの本は期待に添えません。さて、残った皆様、ソバ屋で
憩うのはいかがですか。』 とあります。これを目にした当時
私は正に、腹ペコのソバ好きの薀蓄垂れの若造でした。今
でもたいした成長はしていないものの、おそば屋でしみじみ
お酒を呑む楽しさは、少しばかりわかるようになりました。

いつかどこかのおそば屋さんで、杉浦さんにばったりお会い
することでもあれば、握手の一つもしていただきたいものだと
思っていた矢先、あっけなく46歳で他界され、ついぞ片想い
は成就することなく、さらに6年が経ってしまいます。今でも
『ソバ屋で憩う』 の行間に漂う大人のおそばの嗜みに倣って、
見目良いソバっ喰いを目指して日々手繰っておりますが、どう
してどうして中々におソバは上手く手繰れません。

YouTubeには、そんな杉浦日向子さんが神田の藪蕎麦でお酒を
召し上がっている動画があがっています。バブルの頃の番組で
いちいち気障りな構成ですが、お元気でいらした頃の杉浦さん
の姿には感動しますし、おそば好きの方には楽しめる番組だと
思います。お暇な方は下記のリンクから覗いてみてください。

2月の芋乃市場の案内状発送が済みました。今月は4日間だけ
ですが、はりきってソバを打ちます。しばらく外国産ブレンド
だった蕎麦粉も純国産に戻りました。新蕎麦粉も落ち着いて、
今がとても美味しい時季です。

皆々様のお越しをお待ちいたしております。

ワーズワースの冒険 そば屋で一杯!




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