糠床を拵えて小一月、毎日美味しい糠漬けを食べています。 漬け加減も、かき混ぜ具合も要領がわかってきて、農協の 安価で新鮮な野菜を買ってきてはせっせと糠に埋めています。 優良な情報をネットで探しだし、だいぶ知識もつきました。
糠漬けの主役はやはり乳酸菌で、それ に産膜酵母と酪酸菌が上手に同居して いるようです。嫌気性の乳酸菌をかき 混ぜることで乳酸発酵を抑制し、好気 性の産膜酵母が天地返しで旨みを作り だすというのが大まかな糠漬けのメカ ニズムであるようです。野菜の細胞壁は塩分によって吸収が 良くなり、そこに乳酸発酵で作られた旨みが上手に染み込ん で味を付け、水分を取られた野菜は乳酸で守られて腐敗しに くくなるという仕組み。 う〜ん、実に理に適っています。
発酵に関する研究や醸造学が発達した現代では微生物の世界 もいたって身近ですが、顕微鏡すら一般的でなかった時代か ら、体験的に学習して漬物を作って保存していた日本人の 知恵には驚くばかりです。理屈がわかっても実際漬けている 時に糠床の中の菌類を視認することはできません。でも、 糠床の匂いや酸味で、発酵が進行していることは感じること ができます。先人の知恵にならって、せめて五感をフルに 使って微生物達の息ずかいを感じることにしましょう。
漬け上がりはナンじゃこりゃ? ってぇ感じのカブとキャベツ
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