倅が運転免許をとりました。先月ひと月合宿免許に詰め、月末に 自動車学校を卒業をし、昨日高校を卒業し、今日運転免許試験場 に学科試験に行くという気の急いた段取りながら、どうやら無事に 合格したようです。たかだか十八かそこいらで免許をとるなど 生意気の上に小癪で、私の車には暫くの間は乗せてやるまいと 思います。
思えば私が免許をとったのは昭和63年 でした。アルバイトをしながらお金がで きると教習所へ通い、地道に教習をこな して卒業した記憶があります。本試験会 場は水戸の運転免許試験場でした。席に ついて試験官の方が用紙を配り、『読め ない箇所があれば手を挙げて質問してください』 と言い、試験が 始まりました。その教室には50人ほども受験者がいたでしょうか? 試験開始から15分ほどした時、シーンと静まり返る会場である方 が 『この字を教えてください』 と手を挙げました。チラリと振り返る とトッポい顔のお兄さん、試験官がどれどれと用紙を見て、『これ ですか?これは 「じてんしゃ」 です。』 と教えました。満場がこみ あげる笑いを堪え、肩を震わせていましたが誰も声に出す人はいま せんでした。その後は質問も無く無事試験が終わり、電光掲示の 合格発表を確認したら同じ席に戻るように注意を受けました。別の 場所で発表を見、合格を確認して教室の席に戻りましたが、あの お兄さんの姿はありませんでした。
免許をとってかれこれ20年、大きな事故もおこさずに運転をして きましたが、慣れきって漫然と運転している自分を感じます。教習所 に入って1番最初の授業で、『車の運転は危険行為であるからに免許 制度なのだ。自動車はドライバー次第で凶器に変わる可能性を持っ ている』 と教わったことを思い出します。鼻をほじりながら歌など 歌って運転している毎日ですが、初心に帰って身を引き締めねばと 思います。倅に倣って初心者の気持ちを思い出すとしましょう。
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