陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2008年09月09日(火)      勇気凛凛

7月、浅田次郎の 『プリズンホテル全4巻』 を一気に読み、
8月は柳田国男の 『遠野物語』 と井上ひさしの 『新釈
遠野物語』 を重ね読みし、さあ次は時代小説にいこうかと
思っていた矢先、弾みで浅田次郎のエッセイに手を出してし
まいました。流暢な文体と、豊富で抱腹なエピソードに掴ま
れてすっかりのめっています。

 タイトルの 『勇気凛凛ルリの色』 は
 団塊の世代の人なら誰もが口ずさめる
 少年探偵団のテーマソングの一節です。
 昭和中盤以降の生まれの私でもこの歌
 の節はわかります。でも、最早これを
 知らない世代のほうが多いでしょう。
 内容は、エッセイだけに浅田氏の経験談
 なのですが、直木賞をとる前の本だけに、
作家として有名になる前の豊富な人生経験が赤裸々に語られ、
時に露悪的に時に真摯な私見を整然と書くその文章は、後の
直木賞作家だけに語彙が多く構文は巧みです。

何といっても自衛隊時代の話は傑作が多く、隊内で洋式便所を
使う話や、『員数(いんずう)』 という自衛隊特有の物品管理の
方法を紹介したエピソードは笑わずには読めません。あとがき
にはこんなご本人の説が披露されています。 「人生笑って暮ら
せれば言うことはないが、そうもいかない。でも笑ってなけりゃぁ
泣けてくるので、笑うのだと思う。」 曰く、ごもっともです。

泣きながら生まれてしまい、死ぬために生きねばならない一生
ですから、笑って暮らしたいもんですよねえ、この本を読むと
そんな生き方ができそうな勇気が湧いてくるのです。
が・・・かなりゲビた話題(クソ・ゲロはあたりまえです)も
ありますので、お読みになる方は、重々ご注意願います。




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