| 2008年07月14日(月) |
奥湯元あじさいホテル |
テレビをやめて、新聞もやめて、時間にずいぶんゆとりができ ました。それだけ彼のメディアに依存し、それを読み解くのに 時間を要していたのかと思うと、無駄だったなあと今さら乍ら 思います。おかげで、たまさかぽかりと空いた時間に手持ちが 無沙汰し、本を読んでいます。幸い、一時貪るように集めた 時代小説が書棚に唸っていますので、順番に再読を楽しんで いこうと思います。
まず手始めに軽いものからいこうと手に 取ったのは、浅田次郎氏の抱腹極道小説 『プリズンホテル』 全4巻。時代小説では なく、キワモノ的娯楽任侠ものです。武闘派 任侠団体木戸組の経営する温泉ホテル 『奥湯元あじさいホテル』 に逗留する客 はワケアリの人ばかり、しかしながらこのホテルの従業員は輪を 掛けてワケアリの人ばかり、その面々がどったんばったんと一つ 屋根の下で事件を巻き起こします。しかしそこは任侠団体が経営 する宿ですから、人情たっぷりの荒っぽい、その筋らしい機知で 治めていきます。久しぶりに浅田節のテンポのよい文章に掴まれ てブリブリと読み進み、げはげは笑っています、いやあ面白い。 未読の方はぜひとも一読をお勧めします。下品なキャラクターが 多々出てくるのにもかかわらず、そこはそれ直木賞作家の初期作、 巧みな文章と狂言回しで所々でほろりとしますし、読後の爽快感 は折り紙つきです。
この本で少々離れていた活字に目が慣れたら、重厚な時代小説を 読み下していこうと思います。暑い夏が過ぎれば読書の秋です。 秋に向けて活字に邂逅をしていこうと思います。
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