職業を尋ねられたら、自営業若しくは自由業と答えます。 まず 『陶芸家』 と答えることはありません。職種を尋ね られた場合、焼き物屋ですとお返事します。一般的には 陶芸家というのが通りがいいと思いますし、遠まわしな 表現はまどろっこしいとも思うのですが、自分の職業に 『芸』の字が付くことが僭越の上にも僭越で、恥ずかし くてしょうがないのです。
陶芸家という言葉を最初に使い始めたの は昭和の大作家、加藤唐九郎師だそう です。何かの書物でご本人がそう述べて おられた記事を読んだことがあります。 自信家で口も立つ氏らしい発言です。 唐九郎師ほどの腕達者が胸をはって 陶芸家と名乗るのは質実剛健で実に 格好いいと思います。いっそ潔くさえ 思うのですが、道半ば、未だ修行中の身でこの肩書きを 名乗るのはいくらあつかましい人間でも憚りがあります。 今でも言われますが、昔から通常陶磁器職人は 『陶工』 と呼ばれます。時代に即して職人の地位が上がり個人作家が 出現すると、陶工は 『焼き物師』 といわれるようになった そうです。更に時代が降って現れた肩書きが件の陶芸家です。
では、陶芸家を使わないのなら何と名乗るのがしっくり くるのでしょうか?古い言い回しは前向きではないので 色々と考えてはいますが、決めかねています。 今のところ 『作陶家』 というのが気に入っています。 耳馴染みがない言葉だと思いますが、庭師さんを作庭家 というのに似ていて、職人らしさがにおいます。
いずれ、恥じることなく陶芸家と名乗れるように なりたいものですが、まだまだ修行が必要でありましょう。
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