『ダーリンは外国人』で一躍知名度を上げたトニーラズロさんの書き下ろ し本『トニー流・幸せを栽培する方法』を読みました。奥様で漫画家の小栗 左多里さんとの共著『ダーリンの頭の中』がひじょうに面白かったので、 躊躇わず購入しました。期待を裏切らない含蓄のある内容でした。
著者は自他共に認める語学通であり、何ヶ国語もの 言語を使い分ける達人です。ネイティブは英語である と断言していらっしゃいますが、日本語も相当に流暢 で、この本も訳本ではなく、達者な日本語で書かれて います。内容は、人として『幸せ』になるためのトニー流 経験的哲学指南書ですが、色々な国々の言葉と経験 則から語りつつ、平易で解り易い例えがちりばめられ ており、読みやすく理解しやすい内容になっています。 読み手は、成る程なあと膝を打ちながらトニー流の哲学 に共感を覚えます。俗に言う「ハウツー本」の形態は、ともすれば押し付け がましく、堅苦しくなりがちですが、そこは語学の達人「読ませる文章」 で飽きさせません。
『幸せ』というテーマは人類の悲願であり、永遠の命題でしょう。 僭越ながら私も、目指す自分なりの幸せの形はあります。しかし、人類全体 の幸せというビジョンは持ち合わせません。この本の中でも著者はその部分 については、まず一人一人が見つけた後に考えるべきであろうと書かれて います。全く同感です。幸せの形は、ある人は自社株の時価総額の額面 であったり、またある人は大きな魚を釣り上げることであったりすることで しょう・・・私のそれは、こんにち病を得ず、雨風の凌げる家に居て、 家族が笑って食卓につけること。これが一等の『しあわせ』です。
この本を読んで、幸せに麻痺し顧みることを しなくなった状態は『やばいな』と思いました。
|