陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2006年01月23日(月)      しあわせ

『ダーリンは外国人』で一躍知名度を上げたトニーラズロさんの書き下ろ
し本『トニー流・幸せを栽培する方法』を読みました。奥様で漫画家の小栗
左多里さんとの共著『ダーリンの頭の中』がひじょうに面白かったので、
躊躇わず購入しました。期待を裏切らない含蓄のある内容でした。

 著者は自他共に認める語学通であり、何ヶ国語もの
 言語を使い分ける達人です。ネイティブは英語である
 と断言していらっしゃいますが、日本語も相当に流暢
 で、この本も訳本ではなく、達者な日本語で書かれて
 います。内容は、人として『幸せ』になるためのトニー流
 経験的哲学指南書ですが、色々な国々の言葉と経験
 則から語りつつ、平易で解り易い例えがちりばめられ
 ており、読みやすく理解しやすい内容になっています。
 読み手は、成る程なあと膝を打ちながらトニー流の哲学
に共感を覚えます。俗に言う「ハウツー本」の形態は、ともすれば押し付け
がましく、堅苦しくなりがちですが、そこは語学の達人「読ませる文章」
で飽きさせません。

『幸せ』というテーマは人類の悲願であり、永遠の命題でしょう。
僭越ながら私も、目指す自分なりの幸せの形はあります。しかし、人類全体
の幸せというビジョンは持ち合わせません。この本の中でも著者はその部分
については、まず一人一人が見つけた後に考えるべきであろうと書かれて
います。全く同感です。幸せの形は、ある人は自社株の時価総額の額面
であったり、またある人は大きな魚を釣り上げることであったりすることで
しょう・・・私のそれは、こんにち病を得ず、雨風の凌げる家に居て、
家族が笑って食卓につけること。これが一等の『しあわせ』です。

この本を読んで、幸せに麻痺し顧みることを
しなくなった状態は『やばいな』と思いました。


 < 過 去  目 次  未 来 >


陶 房 日 報