indexpastwill
2008年09月25日(木)   猫になりたい

『アビシニアン』は猫と一緒に読みたかったので実家に帰る。2匹は丸くなって、少し離れて眠っていた。猫の柔らかい腹に顔をうずめる。小さな鼻から規則正しい息がもれてくる。心臓の音を聴く。猫の心音は人間のよりも速い。哺乳類の心拍や呼吸の回数は身体の大きさに関わらず同一である、と昔何かで読んだ。とくとくとくとくとくとくとくとく、彼らの時間は終わりに向かって突進している。私よりも何倍も速いスピードで。

小説のなかで猫が死ぬ。私は猫を撫でる。小さな頭を、丸くつややかな背中を、撫でて、撫でて、撫でまわす(毛が飛び、私はくしゃみをする。キジトラの猫がウカカカ、と奇妙な声を出す。お大事に、と言われているのかもしれない)。猫になりたい。猫にうずもれ、猫にまみれて、猫と同一化したい。この小さくやわらかな生命に、いったいどうしたら、完璧に寄り添うことができるんだろう? もっと、もっと、もっと近く、おまえたちに、

そこでタイムオーバー。

私は帰らねばならず、そうして明日は会社に行かねばならない。帰るよ、と言ったらウシの猫がにゃあ、と欠伸まじりのまぬけな声で鳴いた。どうやら永遠の片想いである。


nadja. |mailblog