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2008年03月28日(金)   CANADIAN

半地下の薄暗い店内にはプロジェクタを利用した奇妙な絵が飾られていた。はじめは水滴のようにぽたりぽたりと黒いしみが落ちてきて、それらは加速度的に数を増し、枝となり、幹となって、やがてスクリーンであるカンバスの上を占拠してしまう。ジンジャーチャイを飲みながらその様子をじっと眺めた。

ここをもう十数年知っている。なのにちっとも変わっていない。はじめて足を踏み入れたとき私はまだ制服を着ていた。十数年の間に、Fが白く細く長い指でギターを弾き、Nが深夜にベトナムコーヒーを飲んで、Tが知的な横顔でアルチュセールを語った。断片と断片が切り結び、黒い線となって胸の表面を覆い尽くし、そうして心を割っていく。

伽奈泥庵、と書く。

幾百幾千の古い記憶が佇むところ。


nadja. |mailblog