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それから1年と少ししてやってきた野良猫は、生まれつき病気にかかっていたらしく、1年と半年しか生きることができなかった。高校3年の夏休み。私は学園祭の舞台を控えていて、毎日ほとんど家にいなかった。そして9月に入って2週間が過ぎ、最後の舞台を終えて帰ってくると、彼女は水を少しだけ飲んで、そうして動かなくなった。 2匹に私は、何にもしてやれなかったから。 もう絶対、生き物は飼わない、とそのとき野良猫の遺骸に誓ったのに。 それからまた1年と少しして、市場の角のペットショップの、「3000円分のエサを買ってくださった方にお譲りします」と書かれたチラシの横のケージにいたトラ猫と目があった。とにかく元気で、いたずら好きで、落ち着きがなくて、トラ猫が蹴り倒したポットのお湯を左腕にもろにかぶってしまい、大やけどをしたこともある。 それから2年後、同じペットショップのケージの中に、ウシ猫がいた。この子はねえ、とびきりおとなしいですよ、とショップのおっちゃんは言った。その言葉どおり、鳴きもせず、暴れもせず、呼んでも出てこず、父の前でも母の前でもおどおどと逃げ回るだけ。いるのかいないのか分からないくらいおとなしすぎるウシ猫は、私にだけ、なついてくれた。 何もしてやれなかった2匹の分も、せめてこの子たちには、と思う。そんなのは私のエゴで、自己満足で、勝手な罪滅ぼしでしかないけど、誓いを破った以上は今度こそ、できる限りのことを、してやりたい、と思う。 ごめん。 |