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2006年03月25日(土)   黒い羊の弱点

黒い羊は別れた男に「ロジックでは決してキミに勝てない」といわしめたくらい、屁理屈をこねくり回すのが得意だが、実はものすごく単純なのである。ため息ばっかりついて、唇の右端を釣り上げてにやりと笑い、「どうでもええんちゃうのー?」が口癖のくせに、実は根っからの体育会系なのである。

なのでこのご時世に常にダブルのスーツそれも似合ってない、のエライ人に黒い羊が属する群れの羊飼い、それも今でこそ羊飼いだが元々は黒い羊たちと同じく田んぼのたにしであったところの羊飼いが、恫喝されて顔をくしゃくしゃにして泣いているところなどを見てしまったら、もうそんなとこ見てられません、手伝えることがあったらなんでもやりますから、

なーんて言っちゃうのである。

そうしてお願いします力を貸してくださいと言われれば、それが黒い羊に向けられた言葉ではなく、ただ単に労働力として、いや、その場しのぎの頭数合わせのためだけに発せられたものでしかないと熟知しているにも関わらず、首を縦にふってしまうのである。

求めよ、さらば与えられん、といういにしえの言葉は黒い羊を相手にした場合において限りなく真実に近いと思われる。求められれば、投げ打つ。期待に、要求にこたえようとして、己をねじまげる。黒い羊は求めない、何も求めないにも関わらず。

求められるような何かを自分が有している、と感じることが自己愛に繋がるから、である。自ら求めることもできぬほど自己を嫌悪している黒い羊はあらゆる「肯定」を他人に委ねることしかできない。そうやって他人から恵んでもらう「肯定」を糧にするしかない、憐れな物乞いの姿をヒツジの着ぐるみで覆い隠しているに過ぎない。

このように頭では何もかも分かっているくせに拒絶する力を持たない、それが黒い羊の何よりの弱点である。


nadja. |mailblog