月に舞う桜

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2008年05月02日(金) Without You

2008年5月2日、午前8時52分。
職場のミーティングが終わり、私は9時の電話受付開始に備えて準備していた。
準備の合間、黙祷の代わりにブラインドの隙間から空を見上げた。
良いお天気だった10年前のあの日とは違って、今日はあいにくの雨模様。それでも、きっと空の向こうで貴方が笑っているんだろうと思って、目を細めた。

本当のことを言うと、私は天国も死後の魂も全然信じていない。それらは、生き残った者たちが、大切な人の死後も自分たちがこの世で生きていけるように考え出した概念だと思うから。
でも、いつだって貴方が空の高い高いところで笑って、私たちを愛し見守っていると、それだけは強く信じているんだ。ときどきは近くまで降りて来て暴れているって、それも信じているんだ。だって、今年の3月28日、貴方は確かにあそこにいたじゃない?
天国も何もない。死んだら骨と灰になってそれで終わり。でも、私は自分が生きていくために、貴方の息吹を信じている。
この大いなる自己矛盾を、私は10年前、自分に許した。

今日は、WOWOWで東京ドーム3daysの2日目「無謀な夜」が放送されている。
帰宅後、トイレに行ってうがい手洗いをしてメイクを落としたら、ちょうど『Without You』が始まるところだった。
この曲に間に合ってよかった、と思った。5月2日にこの曲を聴けて、よかった。

TOSHIが、自分のブログで「あなたは大切な人に、どんな生き方を誓いますか?」と書いていたよ。
私は、どんな生き方を誓えるだろうか。もう少し、考えてみるよ。

10年経った今でも、まだ悲しいと思う。寂しいと思う。悔しいとも思う。でも、流れる涙は、もうそんな理由じゃない気がする。もっと大きくて、温かい気持ち。
あさって、会いに行きます。どうか、また私たちと一緒に笑っていて。

10年前の5月2日、でかいロケットで旅立ったピンクの髪のギタリストへ。無限の愛と感謝を込めて。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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