2006年04月25日(火):愛がひとりぼっち
松井秀 左投手に(T_T)

これは本日4月25日付の産経新聞朝刊16頁のスポーツ面に載った一文である。


新聞の役割とは、なんであろうか?
無論それは会社によりどういった役割を持たせているか、意味付けをされているかは多少異なるだろうし、何が第一義とされているかも違うだろう。
が、どの新聞にも共通することは「情報の伝達」をその役割に含む、という事だ。
ここではそれを前提として話を進める。

「伝達」を役割とするなら、媒介となる「文字」に、「他者に伝わる形で」、「情報が含まれている」必要がある。
(「情報とは何か?」、この解釈も多少異なるだろうし、伝達されたものが情報であるとする定義も出来ようが、今回はそういった部分は割愛させていただき、一般に捉えられているであろう意味と思われる語を用いる。)

極端に言うと、この世で一人しか理解できない言葉で書かれていたとしたら、言葉には意味はあっても、「新聞としての意味」は無い。
それは「伝達」が不可能だからだ。


さて、もう一度冒頭の引用文に注目していただきたい。

松井秀 左投手に(T_T)

松井秀が左投手に…?
誤植であろうか、その後の内容が伝わってこないのだ。

T→アルファベットのティー
_→下線
T→ティー

括弧は直前の文なり語なりへの注釈を付け加えるものであるから、「左投手に」に掛かる語であることは間違いない。
しかしそうすると、「左投手に」と言うのは文として完結していないから(完結していない文を載せると言う時点でおかしいのだが)、では「T_T」は接続助詞「に」を説明する語と言う事になる。

接続助詞の修飾語、と言うのは通常考えられない。
ではやはり、「左投手に」に続く通常の文章なのだろうか?

そうすると、括弧「()」までを含んでの単純な誤植ということも有り得る。
いや、あってはいけないことだ。校閲作業が行われていないのかもしれない。
どちらにせよ、これでは情報を決定付ける一番肝心の部分が省かれた状態になってしまっているので、「情報の伝達」と言う役割を果たせていないのである。

松井秀は左投手に…なんなのだろう。
強い/弱い等、相反する語が続く可能性がある、真逆の情報になる可能性がある。
強い/弱いも、スポーツ面ということと有る程度の野球知識という前提から出てきた言葉で、ひょっとすると
松井秀は左投手に激しい性的興奮を覚えた、のかも知れない。


産経新聞は発行部数が200万部であるらしいが、少なくとも今回の場合200万人の読者が不確定な情報の為に代金を払ってしまっているわけである。
新聞社が自ら「社会的責任」を標榜するのはそれはそれで危険なことである、それは新聞本来の役割としては無い。
だが、200万の読者に不利益を与えていることは確かであるのだから、その点に関しての責任は深く感じて欲しいところである。
「情報を伝達する」、我々読者はその役割を新聞に求めているのであるから、その紙面でその役割が果たせるかどうか、それを意識して記事をもう一度見直してから発行すると言う当然のことを行うよう、産経新聞編集部の諸氏には猛省を期待する。


〜今日のハンバーガー:マックチキン(単品)〜
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