眼、耳、口。 どれも一度、さらになって。 でもって、ひとつだけ。 どれかひとつだけを選べるとしたら……。
アタシ。 幼い頃からひとり遊び。 も、バリバリの妄想癖、あり。 甲状腺の腫瘍が大きくなると、声帯にも影響があるって。 先生から言われてたとき。 ふっ、と。 そんなことを妄想していた(先生ごめんなさい)。 で、アタシだったら。 どれかひとつを選ぶのなら、眼。 景色が見えれば、風の声は聴こえるし、言葉にしなくとも。 胸の内でひそやかに、ささやくこと、できる。 なんとはなしに。 おさるに。 あんただったらどれをとる? って聞いてみたら。 おさるは耳をとるんだって。 耳が聞こえれば、目の前にあるものを想像することはできるし、点字を覚えれば会話だってできるから、なんだって。 でもさ。 点字って、相手もその点字を知っていなくっちゃダメだよね? 少し意地悪く聞いてみた。 でもそれでもいいんだって。 会話をしたいと思ってくれる相手なら、点字を覚えようとしてくれるから、らしい。 ふ〜ん。 なんだか、そんなふうに、チビすけだったおさる、も。 誰かに言われたからではなく、自分のこころでちゃんと意志を持つほど大人になってんだなって、ツーンと嬉しくなった。
アタシは、眼。 聞こえなくても話せなくても。 聴こえるし、言葉を紡ぐこと、できるから。 よくばりは言わないから。 眼、だけは。 アタシから奪わないで欲しいな。 もしも、のはなしなんだけれど、ね。
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