こんな一日でした。
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2005年05月29日(日) 革命

村上龍の「半島を出よ」を読み始めた。
彼の「愛と幻想のファシズム」「五分後の世界」「ヒューガ・ウイルス」「希望の国のエクソダス」という作品群が、私にはすさまじく面白い。
これらを読んでいると、本の中の世界があまりに緊迫しているので、読書を妨げる現実社会の事物に対して「それどころじゃないから!!」と、言い放ちたい衝動に駆られる。心は架空の革命の虜である。劇画的だという批判もあるに違いないが、そんなこと言ったって「それどころじゃないから!!」なのである。

愛知万博の影響なのか岡本太郎の本が再販されている。「今日の美術」という名著とされている本が出ていたので、とりあえず読んでみた。現在の感覚で読むと、そう大して驚く内容でもなく、むしろ普通すぎてつまらないくらいだ。あとがきの赤瀬川源平さんがおっしゃるように、現代美術的なものがそこらじゅうにあふれた今は、それを疑ってかかることこそ岡本太郎が当時、この本に書いたことの主旨に沿うことになるだろう。
権威化されたもの、曖昧で生ぬるい予定調和を、簡潔にばっさばっさと切り倒す岡本太郎の言葉は「即効性」を持って当時の若き作家達を力づけたというのは良く理解できる気がした。

覚醒、革命、そして力。
私は多分、革命の中にあったなら掃いて捨てられる方の人間かもしれないと思う。それでも、その渦中にいる緊迫感を想像すると清々しくなってくる。
しかし、美術というのは日々革命の中になければならないもので、私がそのことに鈍感にいるだけのことだ。「それどころじゃないから!!」と、制作以外全てに言い放つ緊迫感を持たなければいけない。


Oikawa Satoco |MAIL

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