まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2012年12月21日(金) ■クリスマスに話したいいい話、その8…多くを持っているということはどんなこと?

《お知らせ》

■『そうだったのか!この違いがわかれば、
 きっと許せる「男女の違い105」』第13号」 
 をアップいたしました。↓
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 今回のテーマは、
 「望んでいるセックス、愛を感じるタイミングの違い」
 デリケートな話題ですが、さらりと読んでいただけると幸いです。
 そういうわけにはいかないところもあり「ショックだ」との
 感想もいただいておりますが、そんなところばかりではないので、
 一部ではありますが、見てみてくださいね。
 どうぞ、よろしくお願いいたします<(_ _)>




今日は、この本からの紹介です。


「こころのチキンスープ8
 探しものは何ですか」








心に残るいい話、感動する話が多いので、
ぜひ、読んでみてくださいね。
おすすめの本ですよ。

心がふっとあたたかく、
あるいは、楽になりますよ〜
今日は、この話になります。




「小さなリース」
(P15〜21〜引用)


あと2週間でクリスマスというときに、
私は望みもしなかった場所にいました。
病院で、手術後の回復を待っていたのです。(略)

私は、左の脇腹に走る傷みを何週間もほおっておき、
いよいよひどくなってから病院に行きました。
医者が、レントゲン写真を見ながら言いました。
「胆石ですね。
 紐でつないだら、ネックレスになりそうだ。
 すぐに手術をしなくては」

「こんな時期に入院なんて困ります」
と言いはったものの、
私もさすがに脇腹の激痛には勝てずに、
しぶしぶ手術台にのったのでした。(略)



手術後まる2日うつらうつら眠り続けてから、
私はやっと目を開けました。
意識がはっきりしてくると、
目を見張りました。

なんと、病室がクリスマスシーズンの
お花屋さんさながらになっていたのです。
窓辺には、赤いポインセチアの鉢や、
その他のいろんなお花がところ狭しと
並べられていました。
それから、開封されるのを待ちかまえている
お見舞いカードの束。

ベッド脇の台には、
小さなクリスマスツリーまであって、
子どもたちが作ったオーナメントが飾られています。

そして、洗面台の上の棚には、
インディアナに住む両親が送ってくれた
1ダースの赤いバラと、近所の人から
贈られたキャンドルつきのユールログ
(クリスマスイブに炉に入れて燃やす薪)
私は、これほどみんなから愛され
心配してもらっていることを知って、
胸が熱くなりました。
ひょっとして、クリスマスどきに
入院するのもそんなに悪くはないかもしれない、
と思いました。



夫によれば、友人たちが食事を運んでくれ、
4人の子どもたちの面倒も見るからと
申し出てくれたそうですし。(略)

息子のアダムがどうしているか心配になりました。
アダムは障害をもって生まれ、5歳でやっと
歩けるようになったのです。

あの子は、あのほそっこい足で氷や
雪の上を動き回れるのかしら?
学校でそり遊びをするときは、
誰かに面倒を見てもらっているかしら?

「またお花よ!」
という声で、私は我に返りました。
看護婦さんが、きれいな花束を抱きかかえてきたのです。
彼女は私にカードを手渡し、その花束を窓際の
ポインセチアのあいだに置きました。(略)



私がお見舞いカードを
読んでいると、
「わぁ、そのお花好き」
という声がしました。
見上げると、カーテンが開いて、
隣のベッドの女性が顔を
のぞかせました。




私のルームメートは、
40を少し過ぎたダウン症の小柄な女性でした。
目は茶色で、ショートヘアの巻き毛には
白髪が混じっています。

彼女が着ている入院患者用の寝間着は、
一番上の紐がほどけていて、
下を向くと背中がむき出しになりました。
私は、点滴につながれていて、
その紐を結び直してあげることが
できませんでした。



彼女は、私のお花を、まるで
子どものような感嘆のまなざしで
ながめました。




「私はボニーよ、あなたは?」
「ジンジャー」

と言うと、彼女は天井を向いて白目をむきだし、
唇を噛み合わせました。

「先生があたしの足を治してくれるの。
 明日、しゅじゅつするのよ」

私はジンジャーと夕食まで
おしゃべりをしました。

彼女は自分のいる施設のことを話してくれ、
どうしてもクリスマスパーティまでには
帰りたいと言いました。
家族のことはひとことも言わなかったので、
私もあえて尋ねませんでした。(略)

その晩、
私のところには何人かの見舞客がありました。
その中に、息子のアダムもいました。



ジンジャーは、みんなに陽気に話しかけ、
私のお花がきれいだと言いました。
でも、そのあいだも、ほとんど
アダムの方ばかりを見ていました。
そして、みんなが帰った後、
ちょうどお花のときと同じように、
何度も

「わあ、アダム好き」
を繰り返すのでした。




翌朝、ジンジャーは手術室に行き、
私は看護婦さんに付き添われて、
ちょっとだけ廊下を歩いてみました。
ふたたび歩けるのはいい気分です。



病室まで戻り、
ドアを開けて入ったときです。
私は、部屋の両側があまりの対照を
なしていることに驚きました。



ジンジャーのベッドはきちんと整えられ、
その主の帰りを待っていましたが、
そこには、カードもお花もなければ、
見舞客もいませんでした。
それにきひかえ、私の側はお花であふれ返り、
お見舞いのカードの山がみんなに
どれほど大事に思われているかを
知らせてくれています。

ジンジャーは、誰からも、
お花やカードをもらっていなかったんだわ。
そういえば、誰もお見舞いに来なかったし…
アダムもいつかこんな日がくるのかしら?
でも、私はすぐにそんな考えを
頭から追い払いました。



そうだ、と私は決心しました。
彼女に何か分けてあげよう。




私は窓際に行って、赤いキャンドルを立てた
聖なる小枝のリースを手に取りました。
でも、これはクリスマスの食卓の真ん中に
置いたらぴったりだわ、と
思い出し元に戻しました。

ポインセチアはどうかしら?
この深紅の花を玄関に置いたら、
あの古い家もパッと華やぐでしょうね。

もちろん、両親からの赤いバラは
あげられません。
だって、今年のクリスマスには、
両親に会えないことがわかっているのですもの。

いいわけは次から次へと浮かんできました。
この花はしおれかかっているからダメ、
これをあげてしまったら、
あの人が気を悪くするかもしれないし、
あれは退院してから使える…



結局、分けてあげられるものは、
何一つありませんでした。




それから、私はベッドに戻り、
こう決心することで自分の後ろめたい
気持ちを紛らわせました。
明日の朝になって、
売店が開いたら、
ジンジャーのためにお花を注文しようと。


手術が終わり、
ジンジャーが戻ってくると、
ボランティアの女の子が彼女に、
赤いリボンのついた
小さなクリスマスのリースを
届けに来ました。

彼女はそれを、
ベッド脇の殺風景な白い壁に、
掛けました。


その夜は、
私のところにまたお見舞いの
人たちがきました。
手術を終えたばかりだというのに、
ジンジャーは一人一人に挨拶して、
自分のクリスマスリースを
嬉しそうに見せました。




翌日、朝食がすむと看護婦さんが来て、
ジンジャーに退院を告げました。

「ホームからのお迎えの車が
 もうすぐ来るわよ」

ジンジャーは、
クリスマスパーティまでに
帰るれることになったのです。

私は彼女のために嬉しく思いましたが、
病院の売店があと2時間は
開かないことに気づくと、
自責の念にかられました。

もう一度、私は病室のお花を見渡しました。
どれかひとつあげられないかしら。

看護婦さんが車椅子を運んできました。
ジンジャーは身の回りの品をまとめ、
クローゼットからコートを取り出しました。


「あなたと知り合えてとても楽しかったわ、
 ジンジャー」



その言葉は本当でした。
でも、私は自分のせっかくの思いつきを
実行に移せなかったことに心がとがめました。

ジンジャーがコートを着、
車椅子に乗るのを看護婦さんが手伝いました。

それから、壁から小さなリースをはずして、
ジンジャーに渡しました。



二人がドアの方に
行きかけたとき、
ジンジャーが言いました。

「待って!」

車椅子から立ち上がり、
足を引きずりながら
私のベッドまで
ゆっくりと歩いてきます。

彼女は右手を差し出し、
私の膝の上に小さなリースを
そっと置きました。

「メリークリスマス」
と彼女は言いました。

「あなたはとてもいい人だわ」
それから、
私をぎゅっと抱きしめました。
「ありがとう」
私はつぶやきました。




彼女が車椅子に戻ってドアに向かうあいだ、
私は何も言えませんでした。

涙に曇る目で、
その小さなリースを見つめました。
ジンジャーにとって
たった一つの贈り物だったのに……
それを私にくれたのだわ。




彼女のベッドの方を見ると、
またふたたび空っぽで殺風景になっていました。
ジンジャーが乗ったエレベーターのドアが
閉まる音が聞こえました。



そのとき、
私にはわかったのでした。
彼女の方が、私よりも
ずっとずっと多くを
持っていたのだと。



ボニー・シェパード
(ここまで引用)



心に多くを持っている…
それがどんなことか、
考えさせられました。

今のような世の中だからこそ、
心豊かでありたいと思います。
そう思っても、ケチくさい自分、
欲深い、損得を考える自分がいて、
なかなか思ったようにはいきませんが、
できることはしていきたいと思っています。
それが、うんと小さなことでも。



いいお話満載の本なので、
ぜひ、読んでみてくださいね。

「こころのチキンスープ8
 探しものは何ですか」






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