まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2008年07月17日(木) 横柄な中央の高級官僚の話

今日は、本からの紹介です。
とても興味深い話を見つけたので…

今回の話は、いい話というより、
なるほど、こんなこともあるのね、というような、
力を与えてくれるようなお話です。
意外な方も出てきます。
今日と明日に分けて2回で紹介します。


今日のお話は、
最近、私が久しぶりに、これは、いい本だ、
と思った本からの紹介↓になります。

「「抜く」技術」

大人の方向けの本ですが、多くの方に
一読をおすすめしたい本です。


著者は、
海洋温度差発電推進機構理事長の上原春男さんで、
日本のエコ研究開発関連における
さきがけともなった方です。
今日の話も、この研究にまつわるお話です。








「限界がきたときどう振舞うか」より
(P153〜160Pから引用 ここから)
※強調はこちらでしました。


ずっと以前、
海洋温度差発電の研究費用をお願いするために、
あるお役所に出向いたときのことです。


しかるべき部署を訪ねて、担当の方と向かい合い、
私が、さあ、これから説明を始めようとしたとき、
その担当者は
おもむろに椅子に背をもたせかけたかと思うと、
あろうことかテーブルの上に靴をはいたまま
両足を乗せたのです。



テーブルの端にかかとの部分を乗っけて、
体を後方に反り返らせた実に横柄な姿勢で、


「なんの話か知らないが、
 聞いてやるから、
 まあ話してみなさい」



そんな感じです。
おまけにその汚い靴の底は、向かいあっている私の
鼻先に届かんとしているではありませんか。

しばらくがまんしましたが、私はとうとう腹にすえかねて
立ち上がり、だまって彼の両足を持ち上げると、
それが本来あるべき場所…床の上に戻しました。

それから何事もなかったかのように説明を続けたのですが、
担当者もまた何事もなかったかのように、しばらくすると
再び足をテーブルに乗せるのです。
私は無言のまま、その足をまた床におろしました。

そんなことが2,3度繰り返されたでしょうか、
もちろん内心、はらわたが煮えくりかえる思いでした。



なんと、無礼な振る舞いだ、
中央の高級官僚とはこういうものか、
しかし、私は説明し続けました。





私の話が一通り終り、しばし静けさがありました。
私は席を立たねばと思ったのです。
すると、そのタイミングを見計らったように
その人が質問をしてきました。


「先生、その研究が実現した場合、
 日本のGNPは何パーセント上がるんですか?」



横柄な態度とは異なり、とても冷静な声でした。
私はうろたえました。
当時(今から30年くらい前のこと)、
GNPなどという言葉はまだ一般的でなく、
私はそれが何であるかさえ知らなかったからです。


「GNPとは何ですか?」
「GNPも知らないで、エネルギーの
 研究をされているのですか?」



その後も、つぎつぎと質問をされました。
雇用人数は何人増えますか?
鉄鋼は何トン増えますか?


しかしいずれの質問にも
答えることができませんでした。
小さくなった私は、


「また、出直してきます」


と、こそこそとその場を退席しました。
家に帰って開口一番、家内に向かって、



「あの態度はなんだ、
 けしからん」




と怒りをぶちまけたのを覚えています。
しかし、それと同じくらい、
担当者の質問に答えられなかったことに
恥ずかしい思いもしていました。


それで、私は、資料や文献をあれこれ調べ、
一週間後に再び同じ担当者を訪ねました。


「この間の、ご質問の件について調べてきました」
「え、ほんとうに調べてきたんですか」



彼は意外な表情をしながら、
こっちの話を聞いてくれました。
今度は足を床につけたままです。
そして、


「よく調べてこられましたね」


とほめてくれました。


「で、先生のこの計画はいつごろの
 完成の予定ですか?」



その質問にもまた答えられないのです。
私は、


「また調べて出直してきます」



と言って小さくなって帰るのです。
そんなふうにして私は、それから毎週その役所に通い、
担当者に説明すると言うことを繰り返しました。
そのうちにその人は、私に数々のアドバイスを
してくれるようになったのです。

やがてあるとき、その担当者はメガネの奥の
その切れ長の目をなごませて、



「先生、なかなかやりますね。
 私は途中で腹を立てて、
 もう来ないのではないかと
 思っていましたよ」




と言いました。
そして、海洋温度差発電の将来性を
認めてくれたのです。
そして、



「いくら必要ですか」



といってくれたのです。


その数字を、
いまでも私ははっきりと記憶していますが、
ぜいたくをいえばキリがないが、
ともかくこれくらいは、ほしいという数字を
遠慮がちに提出しました。




すると、その人は…



この話の続きは、明日書きますね。
この後、意外な方がでてきます。
どうぞ、おたのしみに。





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