まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2008年06月12日(木) しみじみと後悔した話

昨日は失礼いたしました。
とても楽しい時間、空間だったので、
閉店間際までいてしまいました。
このお店のことは、後日、書きますね。


ちなみに、このお店です。
プロの歌をライブで聞けて、勝手に好きに踊れます。
四谷「ブラジル料理とサンバ」の店「サッシペレレ」
「http://www.saciperere.co.jp/index2.html」
紹介して頂いたMarieさん、
ありがとうございました。



このお店で、いつか、楽しい、
「ぼちぼちの会」「ことば探しの会」でも
開けたらいいなぁ…なんて思いました(笑)
さて、「サッシペレレ」の話はさておき…




今日は、かなり後悔した話です。
なぜか、ずぅっと気になっていて…



それは、一週間ほど前のことである。
その日、私は、新大久保にある韓国街に
食材を買いにでかけた。
この日は、天気もよくて、気持ちもよかったので、
買い物を済ませて、このあたりをちょっと
ぶらぶらしようと思い立ち、
韓国街のあちこちの店の見て回った。
そして、そうしている間に、小腹が空いてきた。


「お腹が空いたね。
 そうだ、ホットクを食べよう!」



そこで、韓国街で作りたてを売っている、
「ホットク」を買って食べることにした。
日本でいうところの、大判焼きに近い。
大きさは、直径15センチくらいかな。
ほら、こんな。






中に入っているのは、
蜂蜜や、あんこ、チーズなどいろいろだ。
こんなふうに焼いて売っているのだ。
外側の材料は、小麦粉とイーストだ。






これを、押さえて、平たくする。
大判焼きのように型はない。
一つ200円だ。






これがなかなかおいしくて、
私は、特に蜂蜜かあんこが好きなのだ。
で、そうそう、この「ホットク」を
1枚買ったのだ、この日は、蜂蜜入りを。

この熱々の蜂蜜入りホットクと、
近くの自動販売機で水を買って、
店の前にある長イスに腰掛けて、
のんびりと食べ始めた。






この長イスの端っこには
1人のおじさんが座っていた。



もぐもぐ…おいしいね。
と、私が座って食べ始めると、
このおじさんが話しかけてきたのだ。
(路上生活者ではなく、普通のおじさん)


「あのね、話しかけて悪いけど、
 新大久保の駅は、
 あっち側の方だよね?」



おじさんは、駅の方を指さした。
私は、口をもぐもぐさせながら、
こくんと頷いた。
すると、さらにこのおじさんは、
さらに、こう話しかけてきた。


「あのね、私ね、この新大久保に
 40年ぶりに来たの。
 このあたりもすっかり変わったから、
 ちょっと迷ってね…」
「変わりましたか?」

「うん、雰囲気もお店もね。
 でも歌舞伎町の方は、古いお店もあって、
 変わってないところもあったね。
 40年前からある寿司屋もあったよ」
「まぁ、そうなんですか…
 じゃ、懐かしかったでしょうね」

「うん、だけど、
 新宿コマ劇場がなくなるなんてね…
 時代が変わったね、儲からないんだね。
 昔は華やかだったんだ…
 すごい人でいっぱいでさ」
「あの当たりで働いていたんですか?

「うん、まぁね。
 働いていた店の本店があってさ。
 修行に来てたんだ」



というわけで、このおじさんは、
新宿コマ劇場の付近で修行をして、
何年間かこの当たりに通っていたらしかった。
そして、おじさんは、ちょっと
遠くを見るように黙った。

こんな話をしながらも
私は、ホットクをもぐもぐと食べていて、
そうしながら、おじさんの様子を
観察していた。


おじさんは、年の頃は70代前半、
でも苦労している感じが見えたから、
本当はもっと若いのかもしれない。

そして、私は、このおじさんが、
手ぶらなのに気がついた。
おじさんは、どこかに荷物を置いて、
このあたりを懐かしくて、
散歩しているのかもしれない。



さらに、私たちは、
たわいもないこの当たりの話をして、
(例えば、今どきの韓国ブームで、
 韓国アイドルの店がいっぱいできたとか、
 昔、ここに違う店があったとか)

そんな話をしながらも、
私はホットクを食べ続けていて、
おじさんと話をしているうちに、
ついに全部食べてしまった。
そして、水もすっかり飲んでしまった。

そして、全部なくなったので、
私は、そろそろ帰ろうと思い、
おじさんに、別れを告げた。


「じゃ、おじさん、せっかくだから、
 このあたりをゆっくりと見て行ってね」
「うん、そうするよ。
 じゃ、私も帰るかな…」



と、おじさんも
ゆっくりと立ち上がった。



そのとき、私は気がついた。
おじさんの足元がちょっと
フラついたのだ。




しかし、おじさんは、
ゆっくり歩き出し、
最後に私を見てこういった。


「話しかけて、悪かったね…」
「ううん、とんでもない、
 楽しんでいってくださいね、
 さよなら」
「うんうん」



私は、おじさんの後ろ姿を見送った。
おじさんは、何も持たず、
少したどたどしい足取りで、
ゆっくりと駅の方に歩いていった。


そのとき、
私は突然思ったのだ。




ああ、なんで、
ホットクを1人で
食べてしまったのだろう。

なんで、
「おじさん、半分食べない?」
って、おじさんに半分分けて
いっしょに食べなかったのだろう。

なんで、そうしなかったのだろう。
ああ、そうすればよかった…




そんなふうに、思って、
とても後悔したのだった。
おじさんは、
お腹が空いていたのではないか。
だから、
足元がふらついていたのではないか…
なんとなく、そう思えたのだった。



もちろん、おじさんには、
そんな気はなかったかもしれないし、
余計なお世話かもしれない。
お腹もいっぱいだったかもしれない。
それなら、それでいい。

せっかく、40年ぶりで来た
懐かしい地なのに…
私、1人で食べてしまった…
分けて食べればよかった…

私は、そうしみじみ後悔したのだった。
それが今でも、おじさんの後ろ姿とともに
心に残っているのだ。


というわけで、
あのおじさんが、
久しぶりのこの地で、
なにか、いい思いをして
くれるといいなぁ…と
今でも思い続けています。






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