まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2007年02月20日(火) おじさん、教えてくれてありがとう

「季節はずれの谷中七福神めぐり」の番外編です。

私たちの旅は、いつも出会いがある。
以前書いた仰天ホテルの旅でも、
稲ちゃんとの出会いがあった。詳細は↓
「仰天ホテル…番外編」


今回も、出合ってしまったのだ。
しかも、今回は、
「とってもいいおじさん」
だったのだ。


出会いはこんなふうだった。

私たちは、五福神目である美しい「天王寺」から、
都内でも有名で由緒ある「谷中霊園」を通り、
お金ざくざくの「護国院」に向かっていた。




谷中霊園がなぜ、有名かというと、古くて、
広いだけでなくて、有名人がたくさん眠っているからだ。
また、春は桜が美しくてそれも有名だ。
この道路の両脇が墓地である。
詳しくはコチラをどうぞ→「谷中霊園」


その谷中霊園をぶらぶらと歩きながら、
「護国院」に向かっていると、
途中で、とても変な形の木と石をみつけたのだ。


ほら、これだ。




まるで、寄り添うにように
「松の木と石碑」が寄り添っているのだ。


「なかよしさんだな…」

と私は思った。


しかし、よーく見ると、
石碑は松の木に食い込んでいるようだ。

うーむ…

これは、石碑が先に倒れてきたのか、
松の木が近寄っていったのか…
両方ともが「好みかも…」などと思い、
にじり寄ったのか…
「どうしてこうなったんだろうね…」
などと、木にさわってみたり、石碑を見たりしながら、
話合ってもわからないことを言い合っていると…



「木に興味あるのかね?」



と後ろから突然声がした。
びっくりして、振り返ると、



そのおじさんは、
いたのだ。




私たちは、木に興味があるというより、
この松の木と石碑の関係に興味があったので、

「なぜ、こんなふうになったのかなぁと
 思って見ていたんです。わかりますか?」


と聞くと、おじさんははっきりとこう言った。


「わからんね」


私たちは、がっくりしたが、
おじさんは、そんな私たちのがっくりを
気がつくふうでもなく、こう言った。


「石碑の見方、知ってるかい?」


知らないと答えると、おじさんは、
石碑の見方を教えてくれた。




それによると、

「石碑は、上に書いている文字と、誰が作ったかが
 大事で、書いてある中身はそれほど大事ではない」


ということだった。
例えば、これは、この辺りでも人気ある石碑なのだが、
写真の○で囲んだところを見ればいいのだそうだ。




そうは言っても、何が書いてあるか、
知りたいと思い、おじさんにこう聞いてみた。

「中身には何を書いているんですか?びっしと、
 丁寧に達筆で掘られているようですが…」
「この頃は一字一句全部手彫りだから、すごいよね、
 どれどれ…えーと、中に書いてあることは…と」


そういうと、おじさんは、いきなり、
石碑の本文を声を出して読み始めたのだ。
実は、おじさん、石碑の中身については
知らないらしかった。読んでは、
「ええっと、静岡県の出身らしいね…」
などと、言っていた。



しかし、せっかくの好意だったので、
私たちは、ふんふんなどと頷きながら、
おじさんが読むのを聞いていた。

一段落ついたところで、おじさんにお礼を言い、
その場を立ち去ろうとすると、
おじさんは、今度はこう教えてくれた。


「この墓地にはね、有名人がいっぱい
 眠っているんだよ、
 第十五代将軍、徳川慶喜(よしのぶ)の
 お墓もあるから、見ていけばいいよ。」



おじさんが、進めてくれたので、
私たちは、その徳川家の墓を見ていくことにした。
そして、教えてくれたおじさんに、
お礼を言い、別れて、墓地に入った。
そして、矢印通りに進んで行くと…






「今日の仕事は終わったから、
 一緒につき合って
 行ってみるかな」 




と、独り言のようだが、私たちに聞こえるように、
大きな声で言いながら、おじさんが追いかけてきたのだ。
さっき別れたばかりだが、大急ぎで、
仕事を終えてきたらしい。



私たちは、再びびっくりしたが、
仕事も終わったということだし、
自ら、一緒に行くといってるから、
おじさんに案内してもらうことにした。

「ほら、ここは、高田万由子、葉加瀬太郎の奥さんね、
 の実家の墓だよ、コッチには森重久弥家の墓だよ」


などと、有名人のお墓を教えてくれた。
そんなことを教わりながら、墓地の中を歩いていくと、
「徳川慶喜」のお墓があった。




今は塀に囲まれて中に入ることはできない。
遠目に見るだけであった。

「ほぅ…やっぱり大きいですね、立派だわ」
などと、仲間と言っていると、
おじさんは、詳しい墓の説明をしはじめ、
(○○夫人墓だとか、そっちは、○○公だとか)





「慶喜は、23人子どもがいたんだよ。
 2人の奥さんが生んだんだけどね…
 もっともそのうち10人は小さい頃に、
 なくなったらしいけど、
 お子さん達のお墓もあるんだよ。」



などというような細かい話までしてくれた。
そんなふうに説明をしていると、私たち以外の
見学者たちもおじさんの話に聞き入り、
いろいろな質問をなげかけていた。

おじさんは、その質問に、
とても嬉しそうに答えていた。
誰にでも、気軽にいろいろと教えてくれる、
とっても、いいおじさんなのだ。


さて、私たちは、見るものも見たし、
そろそろ夕方になってきたので、この墓地を
去りたいと考えていたが、おじさんは
今日の仕事が、終わっているので、まだまだ
一緒に行動したいふうであった。

しかし、時間も押し迫ってきたので、
他の人たちと語り合っているときに、
さりげなく、

「今日はどうもありがとうございました。
 私たち、先を急ぎますので…
 先に行きますね。」


と、頭を下げて、挨拶をして大急ぎで離れた。
後ろから、みたび声をかけられても、
もう相手もできないからね。
その後、おじさんがどうしたのかはわからないが、
また他の人に、この墓地のことを教えたりしたんだと思う。

この、とってもいいおじさんが
いろいろと教えてくれたお陰で、私たちは
この墓地のことがよくわかった。

そして、なるほどね、などと、大いに満足して、
この谷中霊園を後にしたのでした。





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