まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2006年12月21日(木) クリスマスのお話…こんなお話はいかがですか?

今日は、ちょっと長い話になりそうです。
クリスマスを前に、本からの心に残る話を書いてみます。

クリスマス精神を思い出させてくれる
こんなお話たちはいかがでしょう。

今回のお話は、全部実話です。
私がとても好きな話でもあります。


「こころのチキンスープ7」より

◆《ベンのプレゼント》 シャーリー・バチェルダー

毎日牛乳配達するベンは、11月末に、お得意さん2人に
たまった牛乳代を払わずに、引っ越されてしまいます。
そして彼がそのツケを埋め合わせる羽目になり、1人は、
20ドル、もう1人は79ドルもあり、かなり落ち込んでいました。
そして、こんなふうに言っていました。

(ここから本からの引用)

「この奥さんがまた美人でねぇ」と彼は言った。
「子どもは6人いたが、もう一人おなかにいて、だから、信用
 したんだなぁ。ああ、おれはなんてバカだ!人のために
 いいことをしていると思っていたのに、痛い目にあったよ。
 だまされちまった!」
私は、「お気の毒に」と言うのが精一杯だった。(略)

私は慰めの言葉を口にして、なりゆきを見守ることにした。
だが、ベンが帰った後、私は自分がなんとか彼の力になりたいと
思っていることに気がついた。
このままでは、ベンは暗い人間になってしまうかもしれない。
何か私にできることはないだろうか?

ふと、クリスマスが近いことに気がつき、
祖母が昔口癖のように言っていた言葉を思い出した。

「誰かに物を盗まれたら、それをその人に
 あげてしまいなさい。
 そうすれば、もう盗まれることはないよ」


つぎにベンが牛乳を配達してくれたとき、私は79ドルの件で
うっぷんを晴らす手があると言った。

「そんな手があるわけないでしょ。でもとにかく教えてください」
「牛乳はその女性にあげたと思いなさい。子ども達への
 クリスマスプレゼントだったと思って」
「冗談じゃない」と彼。
「そんな高いプレゼントなんて、うちの女房にだって
 やったことはないよ」(略)

私はそこで口をつぐんだが、ベンならきっとわかって
くれると信じてていた。彼が配達にくるたび、2人は
そのことで軽口をたたき合った。

「もう彼女に牛乳をあげた?」と私が聞く。
「いや」と彼が切り返す。
「でも、またどっかの美人のお母さんにカモられる前に、うちの
 やつに79ドルのプレゼントをしてやろうかと思っているよ」
私がこの質問をするたびに、彼の口調も軽やかになっていった。

やがて、クリスマスの6日前に、あることが起こった。
彼が満面の笑みを浮かべ、目をキラキラと輝かせてやってきた。

「やったよ!
 牛乳をあの人にクリスマスプレゼントしちゃった。
 いやあ、正直きつかったけど、たいしたことじゃない。
 牛乳そのものは、とっくにくれてやっちゃってるんだし、
 そうでしょう?」

「そうよ」私は彼といっしょに喜びながら、
「でも、本気でそう思って贈らなきゃダメだわ」
「わかってますって。本気ですよ。ああ、いい気分だ。
 だから、クリスマスってのはめでたいんだよね。
 あの家の子ども達は、おれのおかげでたっぷり
 牛乳が飲めたじゃないですか」



クリスマス休暇がきて、やがて終わった。
2週間後、よく晴れ上がった一月のある朝、ベンが玄関先に
小走りにかけてきた。

「いやぁ、聞いてくださいよ」と言って、にこにこしている。

彼の話では同僚のピンチヒッターとして、いつもとは
別の配達ルートを回っていると、誰かに名前を呼ばれた。
振り返ると、1人の女が手にした紙幣を振りながら走ってくる。
あの子だくさんの美人の母親だった。
腕には、おくるみにくるんだ生後間もない赤ん坊をだいている。

「ベン!ちょっと待って!」女は大声で言った。
「あなたにお金を渡さなきゃ」
ベンはトラックを止めて、外に出た。

「ごめんなさいね」と女は言った。
「支払いをしなきゃって、ずっと気にかかっていたんだけど」
話を聞くと、彼女の夫がある晩帰宅して言った。
「おい、安いアパートを見つけたぞ。それに、
 夜の仕事も見つかったんだ!」それで急に引っ越すことになり、
そのどさくさのせいでベンに転出先のメモを残すのを
忘れたのだと言う。

「でも、ちゃんと貯めておいたの。
 ほら、まず手始めに20ドル」
「いいんだよ」とベンは言った。
「もう払ってあるんだ」

「払ってある!」女はビックリした。
「どういうこと?誰が払ったの?」
「おれだよ」
彼女は、彼がまるで神の使いであるかのように彼を見、
やがて泣き出した。


「それで?」
ベンが話し終えるのを待って、私は尋ねた。
「あなたはそれでどうしたの?」
「どうしたらいいのかわらなくてさ。泣いている彼女の肩に
 手をまわしたけど、いつのまにかおれまで涙が出てきて。
 なんで泣いているかわかんなかったけど、泣いていた。
 それから、あの子ども達が、コーンフレークにおれの
 牛乳をかけて食べている様子が目に浮かんできてね。
 おれ、奥さんの言うとおりにして本当によかった」
「それじゃ、その20ドルは受けとらなかったの?」
「もちろんさ」彼は憤然と言った。

「あの牛乳は、おれからの彼女への
 クリスマスプレゼント。でしょう?」




「明日、きっといいことがある」より

◆《25セントで靴を》

毎年、アメリカの大都市のあるテレビ局が、
「25セントで、子どもたちに靴を」という募金活動を
行っています。クリスマス・シーズンになると、局は、
この募金活動を開始し、人々は恵まれない子どもたちの
ために寄付するのです。
あるとき、そのテレビ局に、こんな手紙が届きました。


5チャンネルのみなさまへ

私たちは、15歳のフレッドと、12歳のミスティと9歳の
ビージェーの3人きょうだいです。6年前に、お父さんが
亡くなりました。それから半年たって、お母さんは、
私たちを置いてどこかへ行ってしまいました。
私たちはそれからずっと、おばあちゃんと暮らしています。

2年前に、おばあちゃんは、私たちを法律で自分の子どもに
してくれました。おじいちゃんはもういないので、
おばあちゃんが働いています。だから、家事は大変です。
私たちは、部屋をちらかしてばかりいて、いつも
叱られていました。
おばあちゃんは、お小遣いをくれます。

部屋を散らかしっぱなしにしていると、私たちは罰金と
して、25セント払うことになりました。
でも、おばあちゃんはやさしいので、その25セントを
全部銀行に預けておいてくれました。
おばあちゃんは秘密のつもりだったのですが、私たちは
知っていました。だからわざと部屋を散らかしていました。 

去年、テレビで募金のことを知りました。
私たちも募金したいと思いました。
このお金は、私たちが部屋を散らかして、それで
平気でいたから貯まったお金です。
うちのおばあちゃんのような、やさしいおばあちゃんが
いない子どもたちのために、このお金を使ってください。


フレッド、ミスティ、ビージェーと3人の名が
サインされた手紙には、135ドル入っていました。




「小さな親切の花束」より

◆《誰にも「メリークリスマス」》

何年も前に、妻と3人の子どもとクリスマス休暇を
フランスで過ごしたときの話です。

クリスマスまでの5日間、旅にありがちなちょっとした
トラブルがいくつも重なって、楽しい気分がすっかり
萎えてしまいました。クリスマスイブには、ふさいだ気持ちの
ままニースのみすぼらしいホテルにチェックインしました。

夕飯を食べに出ると、外は冷たい雨が降っていました。
くたびれて、落ち込んで、少しはましな店を探す気力も
なくなってしまった私たちは、冴えないレストランに
入ることにしました。

店内は、テーブルが5つしか埋まっておらず、ドイツ人が2組
フランス人が2組、そして1人きりで座っているアメリカの水兵が
いました。隅でピアノ奏者が、どうでもよさそうにクリスマス
ソングを弾きています。
誰もがじっと黙って食事をしていましたが、食べながら手紙を
書いていて水兵だけは、楽しそうに見えました。

妻がフランス語で料理を注文しました。
しかしウェイターが持ってきたのは違うものです。
私は「ばか!」と怒鳴り、妻は涙ぐむ始末。
右側ではドイツ人の奥さんが夫をなじりはじめました。
左側では、ちょっとした粗相をしでかしたフランス人の
男の子がお父さんにひっぱたかれ、泣き出してしまいました。

この重苦しい空気に、不快な冷風が吹き込んできました。
外から、びしょぬれになったフランス人の花売りのおばあさんが
入ってきたのです。おばあさんはテーブルを一つひとつまわり
ましたが、誰も花など買いません。

彼女はうんざりしたようすでテーブルに着くと、ウエイターに
「スープにしとくよ。午後、一つも売れなかったからね」
と言いました。そしてピアノ奏者に、話しかけました。

「ジョセフ信じられるかい。クリスマスのご馳走が、
 スープ一杯だってさ」
ジョセフが黙って指さしたのは、空っぽのチップ入れ。

すると若い水兵が食事を終えて立ち上がり、
おばあさんの方へ行きました。

彼は、小さなコサージュを二つ手に取って聞きました。
「メリークリスマス。これ、いくらですか?」

おばあさんが2フランだと答えると、水兵は20フラン札を
手渡し、おばあさんの頬にキスして、
「残りは僕からのクリスマスプレゼントですよ」
と言ったのです。
それから、私たちのテーブルへスタスタとやってきて、
コサージュの一つを私の妻に渡すと、店を出て行きました。



誰もが食事の手を止め、レストランは一瞬、
完璧な静けさに覆われました。
そして、次の瞬間、クリスマスのお祭り騒ぎが
爆弾のようにはじけたのです。

まず、花売りのおばあさんが立ち上がって、小躍りしながら、
20フラン札を振り回し、ピアノ奏者に叫びました。
「ジョセフ、これ半分上げるよ!わたしのクリスマス
 プレゼント。あんたもいっしょに祝おうよ!」


するとピアノ奏者は「よき王者・ウェンセスラス」を 
威勢よく弾きはじめ、妻が、もらったコサージュを
曲に合わせて振りながら歌い出しました。
うちの子どもたちも歌に加わり、ドイツ人たちもイスの
上に飛び乗ってドイツ語で歌い出しました。
ウェイターは花売りおばあさんに腕を回し、フランス人の
少年はお父さんの膝に乗り、ふくれあがる国際合唱団に
加わりました。

今度はドイツ人が全員にワインをオーダーし、自ら
テーブルを回ってはクリスマスのあいさつや抱擁とともに、
注いでいきました。フランス人家族の一方がおかえしに
シャンパンとキスをふるまいました。

レストランのオーナーが「初めてのクリスマス」を歌い出し、
みんなが、その半分は目に涙を浮かべて加わり、しまいには
通りからもどんどん人が入ってきて、クリスマスソングが
鳴り響く中、レストランは超満員になりました。

ほんの数分前まで、そこには18人の人間が、同じ場所で、
それぞれ惨めな晩を過ごしていたのです。
それが最後には、いままでで最高のクリスマスをみんなで
分かち合っていました。

これもすべて、1人の若い水兵が
心にクリスマス精神を忘れずに
もっていたからでした。


(本の引用終わり)

《今日紹介した話の他、こころがあったかくなる
 話がいっぱいの、おすすめの本です》








こころが豊かになる、あたたかくなるような
クリスマスをお過ごしくださいませ…





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