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日記からの再録なので書き方がだらしないです:ムサヒルパラレル
ちょっと失敗して町のチンピラどもに追っかけられてしまうヒル。 逃げる最中に電気がついていて窓が開けっ放しの部屋をみつけて転がり込む。 なんとかやり過ごせると良いなと思いながら室内を伺うと。部屋の中央で男が眠っていた。 畳の上にあおむけでタオルケット一枚。そこから外にはみ出した部分はどこも素肌だ。 なんだこいつ。 外の気配を伺いながら男を観察していると。むくり、と上体が起きあがった。 目があった。 しばらく半開きの目がこちらを向いて、追い出されるかなと思ったところで 突然立ち上がられた。この男。なんで全裸で寝てるんだ。 足下に落ちたタオルケットで隠そうともせず、男は天井からの 紐を引いて明かりを消した。 男は。部屋の隅で膝をかかえるヒル魔に一言も声をかけることなく、 大きないびきをあげて再び寝た。
なんとなく外に出づらくてその部屋で一晩を過ごしたヒルは、 目が覚めた男に不思議そうな顔をされる。 「何だおまえ」 汚い部屋の中でスペースもとれずに、壁にもたれかかって仮眠をとった ヒルはとても機嫌が悪い。なんでこんなに汚いんだと悪態をつけば まだ綺麗なほうだと答えられて声も出ない。
床に触れた部分は黒い布地が白いほこりに汚れている。 風の通りは良くて一晩中窓が開けられていた部屋の中は外の乾いた匂いがする。 ざらざらした畳みの感触に眉をしかめながら、面白そうにこちらを見ている男。 人に何かを言う前に、お前はまず服を着ろ。 「そうか、お前昨日の奴なのか」 「だったら、何だ」 「あー、夢かと思った」 「あほか」
出て行けという言葉が最後まで出て来ないのでヒル魔は呆れた。 部屋の中は、明るい陽の光の下で見れば酷い惨状だ。 布が散乱した中でごそごそと男が漁るのを見て、それが服なんだと知らされる。 脚をのばせばぶつかる距離に、蓋が開いて中身が入ったままのカップ麺があった。 どういうわけだかお湯が入っていないそれは、開けてから随分と経っているようで うっすら中にホコリがたまっていた。男が横になっていた場所は「寝る」ためのスペースのようで その周りひ頻繁に使うだろう品物が転がっている。 箸や、皿や、食べ終わった空のプラスチック容器が散乱し、その中に横倒しに調味料の瓶や チューブが転がっている。点々と畳についたシミは、醤油かソースか、とにかく汚い。 ばきりという音がして、あれ、と男が足下を覗き込む。何を踏んだのか、確かめたきりで 片付ける事もなく男は部屋を横断した。 「あー」 しわだらけのタオルがピンと張られて、男の頭に器用に巻き付いた。 伸ばしていると言うより伸びただけのぼさぼさとした汚い髪が その中に押し込まれて、それがこの男の「外面」なのかなとヒル魔は思った。 だらしなく寝こけていた弛んだ雰囲気は、それだけで消えた。 顔に張りと目的が生まれて、部屋の中を知らなければまともな人間の印象を与えてくれる。
狭い部屋はせいぜいが6帖。水回りも冷蔵庫も何もないのだから、ここは単なる男の個室なんだろう。 厄介な事になりそうな気配がすればすぐにでも開け放したままの窓から外に飛び出すつもりだったが。 男の様子に人を呼ぶとか怒声を浴びせるなどの緊張感は見られない。 「あのなあ」 何を言い出すのかさっぱり予想も出来ないと思う中で男はドアを開けた。そこは。外で。 ヒル魔の口がぽかんと開く。 「あーーーー」 まだ何かを悩んでいるような男は、しばらく悩んだ挙げ句。 「行って来ます」 そう告げて、部屋を出た。 残されたヒル魔への言葉も何もなく。呆然とする耳に車のエンジンが届き、遠ざかり、そして無音になり。 置かれた状況を整理してヒル魔はつぶやいた。 「あいつ、鍵かけてかなかったな……」 開けっ放しの窓の下は黒くよごれ、恐らくは何度も吹き込んだだろう雨風によって畳がぶよぶよと柔らかく膨れていた。押し入れ一つない室内には、確かに金目のものなど何も無いんだろう。 ヒル魔は少し悩んで、それから外を眺めて。 とりあえずここから出るには窓なのか、ドアなのか、考えながらため息をついた。
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やまだ
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