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2002年04月17日(水) [猫]1

前を行くヒル魔を見ながら、ムサシは考える。
下校の途中。あたりに人影はない。
次は、どうするかな。


この、目の前の男は、やたらと周囲に恐怖をまき散らしているようで。
友だちだと言うと奇異の目で見られ、良い所もあるというと、奇特な目で見られる。
同情や哀れみのまなざしもあり、相当にこいつは誤解されているなと思う。
それでものそのそと近付いてきた奴には、相当に甘い。例えば、自分や栗田に対して。
一度懐に入れた人間には、かなり無防備になるようだ。

そんなヒル魔が最近、どうにもいじりやすい。
ふとした拍子に意外なリアクションが返ってくる。
恐らくは、栗田と自分にしか見せないだろう仕種。台詞。その、表情。

周りで思われる程凶悪でも無く、周りが恐れる程悪魔でもない。
ただ、人より行動と頭の回転が早いだけの、それだけの男。
それでも時折見せるその仕種にムサシも栗田もおや、と思うのだから「イメージ」の根深さを思い知らされる。

ムサシは、台詞を考えた。

ヒル魔のあのひょうひょうとした仮面をはずす台詞。
最近のムサシの遊びの一つ。

無言で数歩先を歩くヒル魔を、驚かせるような何か。

できれば、顔を赤くさせるようなやつがいい。
釣り上がった目がぽかんと見開いて、それから、さっと赤くなる。
面白い程色の変わるあの、何とも言えない顔を、見たい。

かといって、そう簡単に思い付くわけじゃあない。
思案するムサシの先で、ヒル魔が何かに視線を向けた。
その先に。家の中で優雅に寝そべる猫がいる。

その猫が何をしたというわけではないのだろうが、ヒル魔の目線がしばらく止まる。
腹を見せて床の上を転がり、飼い主相手に思う様にじゃれる猫。

猫、か。
ふと、ムサシの口が動く。思うより先に。
「お前、あれに似てるよな」
何を、と聞くようにヒル魔の眉があがる。
軽く足を急がせ、できるだけ耳へと顔を近付ける。

「手触り」

きゅっと、ヒル魔の眉が寄り。ぎ、とその目が力強く睨む。
返答は、無い。ふい、と顔がそらされてまた、数歩分の距離が空く。

失敗したかな。
思った反応が得られずにそう思ったムサシは。
顔に浮かぶ笑みをとめられなかった。

そうか。時間差で来たか。

やんわりと色付いた耳。

こんなあいつを、どう言い表わしていいのかわからないが。
何度見てもいいな、とムサシは素直に思った。
この遊びは、当分やめられそうに、ない。








1とつけたのは精一杯の強がり。
2を書ける日って来るのか。



20050422このころは日々ムサヒルしてたんだよなあ。

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<倉庫にモドル>


やまだ