INDEX西部オフライン

2002年04月03日(水) [登校]

通学路は、はっきりと色が分かれる。
黒と、白と、肌の色。
見慣れた道は新鮮さが消える過程で色も消えた。
目に入るのは、人の背中。動く色。
ざわめきと、けだるさ。
春の眠気。

飛んでくる桜の花びらはどこから来るのか、知らない。


そんなものが、全部静かになったとき、ああ、と思う。
いた。

大きな背中。
寝癖がついている髪をむぞうさになでる、腕。
少し猫背で、歩く速さは遅い。

何も考えていなくても、勝手にそいつの背中を俺は見つける。
糸に引かれるように、意識が引き寄せられる瞬間。


音が消える瞬間だ。


歩く癖のせいで、右足のかかとが少し、すり減っている。
買ったばかりの靴がそうなったのはきっと仕事中も
あれを掃いているからだ。
新しい空気と、新しいにおいに満ちたこの通学路で、
すこしくたびれた背中。


のしのし、というのが似合うと思う。
後ろから走って蹴飛ばしても、きっとあまり気にしない。
それで、「おう」と短く声をかけてくるだろう。
黒い制服の背中に足の跡が付いても、あいつは文句を言わない。

学校までの短いみちのりを、ああ、とかそうだな、とか
そんな片言でつなぎながら、俺と歩く、だろう。


すこし歩調を落として、距離を保つ。
すりへったかかとに白い物。あれは桜の花びらだろうか。
道をたどると、踏まれた一つの花。
同じように、右足で踏んでみる。
かかとに同じように花びらがついたかもしれない。
左足についた泥のハネは、昨日はなかった。
ここ数日の晴天ではつかないものだから、
きっとそういうところで仕事をやったんだろう。


のそり、というその歩みが止まらないように、
突然後ろを振り返らないように、
俺は足音を潜めて歩く。
おなじ道を、後ろから歩く。
校門まであと少し。

ひらり、と舞い落ちてくる小さな白が、
あいつの髪にからんだ。
近くに桜の木があるのかもしれない。
学生はみんな知っているようなところに。


今日は、あの白がいつ落ちるのか。
それを見ていようと思った。
俺だけが、その瞬間をみれればいいなと。

思った。



あいつの後ろ姿を観察するための、少し遠回りする通学路。
今日も、同じ展開。
それが少し楽しい。
それがとても嬉しい。








20050403 日記はじめてすぐにこんなもん書いて……。遠い目。

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やまだ