INDEX西部オフライン

2000年10月04日(水) 泥門の部室にエロい本



まず、まっ先に部室に入って来たセナモンふご。
机の上にあるそれを見て赤くなる。
思わず「うわっ」とか口に出しちゃう。
しばらく遠巻きに見ているものの、度胸マックスがまず開く。
うわあうわあ言いながら中をめくり、後ろからそっと覗き込むセナ様とふご。
(鬼畜モード発揮して、顔色変えずにふうんてぺらぺら見るのも素敵ですね)
途中でモン太も言葉を失い、静かに見入る。



そして、3兄弟がちいーっすとか言いながら入って来て
びくうううっっっと大きくリアクションしながら机から離れる。



のけぞった時に床に落ちた本を拾い上げる戸叶。
脇からひょいと首を突き出す黒木。
黒木「ほほう。こりゃあ……」
戸叶「中々の……」
一番後ろから首を伸ばしてじっくり注視。

十文字「なんでこんな所にこんなもんあんだ」


一度は離れたチビーズ達も、一見冷静、しかしほんのり赤くなりつつ
本を凝視している3人に近寄り。
やや遠巻きにしながらもちらちら、本に目が向う。



「何固まってんだ、糞ガキども!」



ヒル魔様御登場。
フィールドにまだ誰も出ていない事から、全員が部室で何かやってると推測して
足でドアを蹴破る勢い。もちろん後ろにはおっさんと栗田。

慌てて本から離れ、それぞれが練習の支度をする。

「なんだ、こりゃ?」

かなり冷静に本を拾い上げて、中身をべらべらと雑に眺める。
脇から覗く栗田と武蔵。

栗田「わあぁ……エッチな本だねぇ」
武蔵無言。
肩ごしにさりげなく武蔵の反応をチェック。

ヒル魔「てめえのか、糞爺」
武蔵「んなわけあるか」
ヒル魔「てめえらのか」
全員が慌てて首をぶんぶん振る。

ヒル魔「全員これに興味があるようだな……」
彼らの消極的な反応と、部室に入った時の様子を思い出してヒル魔がにやりと笑う。
ヒル魔「最後に部室を出た奴のメットに、こいつの見開き張り付けんぞ!!」

鬼の声とは良く言ったもので、全員が部室から飛び出して行った。
中には下着姿でユニフォームを掴んで飛び出た者もいた。
後に残ったのは武蔵と栗田とヒル魔の3人。
「こんな凄い本、誰が持って来たんだろうねえ」
特に気にした様子もなく、栗田が皆の後を追い掛ける。

後に残ったのはいつもの2人。

興味を失ったようにヒル魔が本を机上に放り投げた。
着替えを始めるヒル魔の後ろで、武蔵が落ち着いて本を眺め出す。
「まさか本気でてめえの持ちもんか」
「そう思うか?」
「………。あり得るだろ」
「…………多分、違うぞ」
曖昧な答えにヒル魔が肩を竦めた。糞マネが来る前に隠しとけよ、と声をかける。
「お前のか」
「はあ?」
「昔と違って、随分冷静に眺められるようになったじゃねえか」

武蔵がヒル魔に見せているのは大部分が肌色で埋められた折り込みのポスター。

「昔は首まで真っ赤にしてたじゃねえか」
「覚えちゃいねえな」

ヒル魔は一切顔色を変えずにどぎついポーズのそれを眺めた。











武蔵が言っている「昔」の出来事。それは彼らが中学の頃。(中1ぐらいが良い)
教室のゴミ箱に押し込まれたそれを、武蔵が拾い上げヒル魔が覗き込んだ。
「こういうのが好きなのかよ」
「男なら、そんなもんだろ」
頁をめくる都度小さく反応の声をあげる武蔵を、ヒル魔は少し引いて眺める。
「興味ねえのか」
「てめえ程はな」
それでもヒル魔の頬は少し赤い。
武蔵は本を閉じてヒル魔を観察した。
同年代の年頃ならば、十分騒げる内容の1册。それに対してヒル魔のこの大人しいまでの静かな反応。
同じ男として、少し不安にさえなってしまう。
「大丈夫なのか」
武蔵があと少し経験を積めば。
それがヒル魔の必死の虚勢だと、表情を顔に出さないようこらえているのだという事に気が付いただろう。
けれど知り合いまだ間もない武蔵は、ヒル魔の本意を見抜けなかった。
これだけ興奮出来る物を目の前にして。
冷静でいられるのは、男としてどこかおかしい。
口に出すより、観察するより、武蔵の片手がまっ先に動いた。

ヒル魔の股間を無造作に掴んだ。

「なんだ、ちゃんと勃たってるじゃねえか」

ヒル魔の硬直が解けた数秒後。
叫びにならない叫び声と連射される銃、それらに追い立てられる武蔵のわめき声が
人気の無い後者に響いたのだった。









練習が終了した後、最後にヒル魔が部室に戻るとそこに残っていたのは十文字。
今日はやけに遅くまで、念入りに練習を繰り返していた。他の者は帰ったのか、少なくとも部室にいるのはヒル魔と十文字の2人きり。
黙ってヒル魔もロッカーに向い、汗に貼り付く練習着を脱ぐ。
「………あれ、捨てたのか」
十文字がぼそりと尋ねた。
何を示しているのかをわかった上で、ヒル魔は尋ねた。
「何の事だ?」
「部室にあった……本、だよ」
「ああ。お前のか」
「ちげーよ!」
馬鹿な事を言ったのだ、と十文字は口を噤んだ。苦さを払拭するかのように、手荒に支度を整えて帰ろうとしたその目鼻先にヒル魔が雑誌を突き付ける。
「なっ……」
「急いで帰るこたあ、ねえだろ」
指をずらして、突き付けたまま頁をめくる。
雑誌を通して、十文字の顔が真っ赤に染まるのをヒル魔は楽しそうに眺めて笑った。
「嫌いじゃ、ねえだろ?」
真っ赤になったまま十文字が後ろに下がる。
「遠慮すんなよ」
逃げられないように退路を絶ちながら、ヒル魔はゆっくりと十文字に近付く。
「………!!!」
目を逸らしても意味が無い程顔の目の前に押し付けると、さすがに十文字が両手で払った。
「誰も持ち主って名乗りでねえ。持って帰るか?」
「いっらねえ!」
伺うようにからかうように、ヒル魔が十文字を下から見上げた。
「あっんたは、平気なのかよ!」
ヒル魔の視線から逃げるように顔を背けて十文字が叫ぶ。
「そこまで過剰な反応はしねえよ」
からかうヒル魔の口調に背を向け、十文字は足音高く部室から出て行った。

普段は生意気。
最近は態度もでかく、口も達者になって来た。

そんな、十文字がうろたえる様子を久しぶりに見たとヒル魔は思った。

狼狽する様、及び腰の様。顔を赤らめて裏返り沿うな声。
そこまで追い詰めて眺めるのは、実に楽しい遊びだった。

数年前の微妙な記憶はおかげで払拭出来た。
同時に、武蔵のあの行動の意味がほんの少しだけ納得出来た。





少し腹がたつ事ではあったが。
普段は対等である同性を、追い詰めるのは実に楽しい。

今度は武蔵に仕掛けてやりたい。
最近ではめっきり表情に乏しくなった、ふてぶてしさをたずさえた老け顔。
あれをひきつらせてやりたい。


生半可にはいかないとわかっていながら手段を模索し、ヒル魔は1人、静かに笑った。


2008 0117 AM0:10


やまだ