INDEX西部オフライン

2000年08月21日(月) コンビニ



「おい、ちょっとコンビニ寄るぞ」

ヒル魔が武蔵を先導する。

「何買うんだ」
「いろいろと用意するもんあんじゃねえか」

武蔵に籠を持つように言い、まずまっ先 に下着を突っ込む。
あの日以来、ヒル魔の部屋には武蔵の下着がストックされるようになった。
今は金曜日の夕方。長ければ2日半程武蔵とだらだら過ごす事になる。
週末の食料を適当にみつくろい、籠にぼんぼんと放り込んだ。
手当りしだいにも見える、豪快なセレクトと放り込み。

「そんなに食えるか」
「余りゃあ、糞デブも呼びゃいいだろ」

ということは、余らなければ栗田は来ないということか。
ヒル魔の言葉はいくつかの情報を含んでいる。
こういう会話にも、随分慣れたと武蔵は思う。

あまりに商品をつめこみすぎて、籠がだんだん持ちづらくなった。
スナック菓子やインスタント。かさ張る商品がかなり多いから、重さはそれほど苦にならない。
狭い店内をうろつくヒル魔の後ろにつきながら、武蔵も目についた品を籠に入れる。
勘定は割り勘。だからお互いに欲しい物を適当に選ぶ。

「多過ぎねえか」
「こんなもんだろ」

コーラのペットボトルを1本。飽和状態の品の上に2リットルのそれが乗り、武蔵は両手で籠を支えた。
もう無理だろ、と思う所に今度はコーヒー缶が差し込まれた。
武蔵がいつも好んで飲むもの。
ヒル魔は一通り気がすんだのか、武蔵を待たずにレジへと向う。
慌てて武蔵は後を追った。こいつを一人でレジに行かせれば、また手帳をちらつかせて勘定をチャラにする事がある。
そういった事はあまり好きじゃない。だから、そばで目を光らせる。
レジに籠を置き、ヒル魔にちらちらと目を走らせる。
わかってる、と言うかのようにヒル魔は無言で肩をすくめた。

それだけで、意図が伝わる。

武蔵はレジの前から数歩離れた。
普段は滅多に足を運ばない菓子置き場の前でうろうろし始める。

「おい、まだ買うつもりか」
「ちょっと、待て待て」

両手にごっそりと小物を握って武蔵が慌てて戻ってきた。
籠の中に放り込まれる、無糖ガム。同じ種類の物ばかり。
ヒル魔は何も言わずに財布を出した。








何が欲しいとか足りないとか。
いろいろお互い知っているんです。


やまだ