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「おい、ちょっとコンビニ寄るぞ」
ヒル魔が武蔵を先導する。
「何買うんだ」 「いろいろと用意するもんあんじゃねえか」
武蔵に籠を持つように言い、まずまっ先 に下着を突っ込む。 あの日以来、ヒル魔の部屋には武蔵の下着がストックされるようになった。 今は金曜日の夕方。長ければ2日半程武蔵とだらだら過ごす事になる。 週末の食料を適当にみつくろい、籠にぼんぼんと放り込んだ。 手当りしだいにも見える、豪快なセレクトと放り込み。
「そんなに食えるか」 「余りゃあ、糞デブも呼びゃいいだろ」
ということは、余らなければ栗田は来ないということか。 ヒル魔の言葉はいくつかの情報を含んでいる。 こういう会話にも、随分慣れたと武蔵は思う。
あまりに商品をつめこみすぎて、籠がだんだん持ちづらくなった。 スナック菓子やインスタント。かさ張る商品がかなり多いから、重さはそれほど苦にならない。 狭い店内をうろつくヒル魔の後ろにつきながら、武蔵も目についた品を籠に入れる。 勘定は割り勘。だからお互いに欲しい物を適当に選ぶ。
「多過ぎねえか」 「こんなもんだろ」
コーラのペットボトルを1本。飽和状態の品の上に2リットルのそれが乗り、武蔵は両手で籠を支えた。 もう無理だろ、と思う所に今度はコーヒー缶が差し込まれた。 武蔵がいつも好んで飲むもの。 ヒル魔は一通り気がすんだのか、武蔵を待たずにレジへと向う。 慌てて武蔵は後を追った。こいつを一人でレジに行かせれば、また手帳をちらつかせて勘定をチャラにする事がある。 そういった事はあまり好きじゃない。だから、そばで目を光らせる。 レジに籠を置き、ヒル魔にちらちらと目を走らせる。 わかってる、と言うかのようにヒル魔は無言で肩をすくめた。
それだけで、意図が伝わる。
武蔵はレジの前から数歩離れた。 普段は滅多に足を運ばない菓子置き場の前でうろうろし始める。
「おい、まだ買うつもりか」 「ちょっと、待て待て」
両手にごっそりと小物を握って武蔵が慌てて戻ってきた。 籠の中に放り込まれる、無糖ガム。同じ種類の物ばかり。 ヒル魔は何も言わずに財布を出した。
何が欲しいとか足りないとか。 いろいろお互い知っているんです。
やまだ
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