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家に帰ってさっさと休みたいのに、目の前に余計な邪魔が突っ立っている。 どこからどう見ても普通の女子高生。見覚えが無いそのガキは武蔵の後を付いて来たという。武蔵が少女に気が付いたのはアパートのドアを開ける直前の事だった。
「俺も入れてくれよ」 「は?何だおまえ」
金髪に赤いリボン。見せるつもりかと思わせるような短いスカート。そもそも中に何かが入っていると思えない程薄い鞄。武蔵の手元にするりと入り、開けようとしていたドアの前に立ちふさがる。意味が分からず片眉が上がる。
「さっきの電車で見て、イイナーと思ってよ」 「……他をあたれ。俺にそういう趣味はねえ」 「なんだよ、インポ野郎」
武蔵は小柄な娘を睨んだ。何のつもりか知らないが、これ以上つまらない事に時間を使いたく無い。
「さっさと帰れ。いい加減にしないと警察呼ぶぞ」 「俺さあ。今、パンツ履いてねえんだよな」 「……なんだと?」 「ここで警察呼ばれたら、あんたの方が不味いんじゃねえの?」
老けている、無駄に不機嫌そうだと言われている顔に力を込めて睨み付ける。小娘は気にした様もなく部屋に入れろと要求を繰り返した。
「あんたの部屋ん中でパンツはかせてくれよ」 「……何のつもりだ」 「別に。やりてえなって思っただけだよ」
強引にドアを開けようとしても案外力は持っているらしい。
「俺が警察呼んでもいいんだぜ?」
目の前に突き付けられる携帯の画面。御丁寧にも110ではない。この近くの派出所の名前が登録されている。
「お前、この近所のヤツか?」 「まあな」
どんどん状況が悪くなる条件が積み上がる。勘弁してくれ。俺が一体何をしたんだ。
「俺の事、いやか?」 「子供に興味がねえんだよ」 「俺とあんた、多分同い年だと思うぜ?」
武蔵の眉両方が大きく上がった。
「俺に興味、沸いただろ?」
戸惑いを隠せない武蔵の首筋に小娘が両手を巻き付けて来た。
「俺の事、中に入れてくれよ」
この勝負、武蔵の負け。
やまだ
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