INDEX西部オフライン

2000年06月11日(日) 恐ろしい事に続きます。

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抱き合うだけ。ヒル魔は自分にそう言い聞かせた。
当然武蔵もそのつもりなのだろう。
浴衣を肩から引き剥がすだけで、それ以上へは進んで来ない。
ヒル魔の手のひらが武蔵の背をなで、武蔵の手の平がヒル魔を撫でる。

それだけでいい。
それだけでさえ今はとてもきもがちいい。

同室の五人が寝静まるまで、こうしていれば問題ない。
武蔵の胸に額をこすりつけ、その心地よさに目を閉じていた時。

最初のそれは違和感だった。
腿の内側。付け根の部分。くすぐったいと思う程度の刺激がいつまでもちりちりと残る。
角度を変えて、腰の位置をずらしても執拗なほどに布団がからむ。
武蔵の両手はヒる魔の背中を撫でている。気のせいにしては何かおかしい。

ヒル魔が両手を回していた、武蔵の背中に何かがあたった。
寝返りをうった誰かのものだろうか。突然の強い、そして重い何かのよりかかりによってヒル魔の両手が固定される。溶けかけていたヒル魔の意識が緊張に尖った。
無理にそこから両手を抜けば、相手は不審を感じるかもしれない。

まずい、と思い武蔵を見上げる。囁くように武蔵を呼んだ。
武蔵の両手がヒル魔から離れ、武蔵の身体が布団に潜った。
ヒル魔が武蔵を抱きかかえている、その腕の中を移動してくる。
ただでさえ武蔵の身体はヒル魔に余る。武蔵の移動に合わせて両手を引き抜こうとしたがうまくいかない。
武蔵の顔が近付いて来る、その気づかいが嬉しい反面。武蔵への密着は一層強まり、動ける範囲は狭くなった。
太ももに感じる違和感の正体を確かめる事さえ不可能となる。

武蔵が顔を近付けて来る。
むやみに声をあげる訳にもいかず、ヒル魔は小さく武蔵を呼んだ。
そこに、絡み付いて来る武蔵の唇。いつもならばそれだけで嬉しい武蔵からの柔らかいキス。

奇妙な違和感を忘れる程に、優しく何度も触れてくれるキス。
キスは欲しい。だけど、今はそうじゃない。
少し惜しいと思いながらヒル魔は武蔵の唇を避けた。尚も追い掛けて来る武蔵が愛しい。
離れては触れるキスを繰り返し、そうじゃないんだと言いかけた時。

はっきりと、太ももに「誰か」の存在を感じ取った。




恐怖と驚きに目を見開いた。

武蔵とのキス。
武蔵との抱擁。
息がからむ程の密着。

なのに、中心を触ってくるのは武蔵以外の誰かの手。
一体どういうつもりなのか、ヒル魔の神経がすべて集まる敏感な場所に爪が立てられる。
反射的に喉から漏れた悲鳴は武蔵の口内に消える。
ふざけているのか、遊んでいるのか、手は意図をもってヒル魔に触れる。
緩急をつけて股間をなでながらその手はヒル魔を愛撫する。
射精を意図させる指の動き。ヒル魔の身体が一気に冷えた。

ムサシ、と何度もヒル魔は叫ぶ。
その声すべてが飲み込まれてしまった。
いつもより時間をかけて、武蔵は濃厚にキスを続ける。

呼吸が乱れて汗が流れた。
得体の知れない腕の動きに、思わず涙さえこぼれる。

ヒル魔が抵抗をしないと踏んだのだろう、腕は次第に大胆になった。
強く揉んだかと思えば今度は焦らすように先端をくすぐる。
腰に伸びている腕もある。
膝のあたりに残っていた下着が更に誰かに抜き取られていった。
武蔵の背中に回していた腕は、今はしっかり手首をつかまれている。

武蔵は、気がついていないんだろうか。

布団の外に感じる気配。
武蔵の手が届かない場所を我が物のように動く手のひら。
武蔵を抱き締めている状態で、武蔵以外に触られるのは信じられない程恐ろしかった。

武蔵は気付いていないんだろうか。
気付いていないとは思えなかった。
気付いていると思いたくなかった。

誰のものともわからない複数の手の蹂躙によって、いやでもヒル魔は性欲を高められる。
自由に動かせる範囲だけで、腕から逃げようと身体をねじっても振り解けずに歯がみする。
いやだ、と思う。
助けて、と言いたい。
なのに武蔵は態度を変えない。
何ごともないように、優しくヒル魔のキスに付き合う。

じわじわと高められている中心の熱に息が上がる。
武蔵以外のたとえ誰にでも、そんな所は触られたく無い。
部屋の中にいた5人はそれぞれ、形は違えどヒル魔を好いている。
好いていると思っていた。

5人の、誰か。
ひょっとしたら5人全員。
少なくとも複数の男に、身体をまさぐられている現実。
武蔵という恋人の、腕の中で触られているという今のこの状態は何かの冗談だと思いたかった。

武蔵の片手がゆかたを引っ張る。
ヒル魔の体重が重しになり、簡単には脱げないはず。
なのにまるで呼応するようにヒル魔の身体に手が伸びた。
腰や脇を持ち上げられて、できた隙間を浴衣が流れた。

見知らぬ腕達の、連係する動き。
悪夢ならば覚めて欲しい。

先端が濡れはじめた途端、焦らすばかりになった股間の指から逃げるために腰をねじった。
武蔵に不振に思われても構わない。ただ、逃げたくて腰を振るとあっけないほど指は逃げて行った。
ほっとするのと、勃立した先端が武蔵の腿に触れたのは同時。

武蔵が、ソレに気がついた。
「お前、なんでこんなに勃ってんだ?」
脳天着な程の武蔵の言葉にヒル魔は返す対応を見失う。
触りあい、キスをするだけでこんなに高ぶらせている事を、武蔵は一体どう思うだろう。
動揺しながら武蔵を見上げるとぬめる先端を笑われた。
「そんなに、こういう状況好きか?」

武蔵が指している「状況」が、一体どこまでを意図しているのかわからずヒル魔は声を出せない。
「下着、履かないで俺んとこ来たのか?」
くちゅ、と音をたてるように武蔵の片手がヒル魔を包む。
とんでもない誤解をされそうで否定しかけて唇を嚼む。
先を促すかのような武蔵の動きに息が止まる。射精するための股間への刺激が武蔵の指で再開される。
「てめっ……、何、考えっ……」
腰をねじっても武蔵は気にしない。
「出さなきゃお前も辛いだろーが」

武蔵以外にそこを触れられるのはヒル魔にとって苦痛だった。
撫で上げられ、刺激をされれば生理的な反応はする。
摩擦によって快感が広がりはしても、それはあくまで反射でしかない。

武蔵の指はそれを超える。
腰から広がる刺激の波に、全身が悦び甘く痺れる。
声を噛み殺せなくなる。
息が乱れて意識が濁る。

周りで、人が見ているというのに。

意思より感覚が暴走する。止められない波が来る。
「やっ、めろっ……」
「こんなにしといてどうすんだよ」
「むさっ……、ぃや、だっ!」
「声出さなかったらバレねえだろ?」
バレるのが恐いんじゃない。武蔵にそれをどう説明しようか。
ためらう間にも指は止まらない。武蔵の腿がヒル魔の性器の裏の弱い部分をこする。
「ッ……、や、だ…………」
武蔵にこのまま刺激されれば、いつものように意識が飛ぶだろう。
異様なばかりのこの状況がヒル魔の意識を更に攻めたてる。
いつもより、ヒル魔の身体は過敏になっていた。

両手首をつかまれている。
腿の内側を撫でられている。
耳の先に息があたる。
拘束された両手の中に、何かを無理に握らされている。

複数の人間の、凝視している気配を感じる。

そんな、中で。
武蔵の指で追い上げられる。その、たまらないほどの、刺激の強さ。
意識はけたたましく警告を鳴らしている。ここは危険で、逃げろと叫ぶ。
恐らく、周りは囲まれている。布団の上から武蔵との絡みを見下ろされている。
性的なこの交わりに、周りもまた参加しようと手が伸ばされている。
恐いと思う以上の恐怖。
そんな恐怖が快感を煽る。


危険なのだと思う程。
意識が警告を鳴らす程。
それらが快感を高めて強める。
足の先から焦燥が沸き上がり、スリルを通り越した焦りは腰の辺りで快感に変わる。
与えられているいくつもの刺激を、そんな焦りが数倍に膨らます。
それは、耐えられない程の快感だった。
仰け反ったまま何度も震える。慣れた武蔵の指の動きが確実にヒル魔を射精に導く。

声を殺せる訳もなく、絶頂をやり過ごせる訳もなく。ヒル魔は反射的に腰を突き出した。
「ひっ、ぁーーっ!!」
武蔵の指が作る隙間に、自ら腰を突き上げて揺らす。
「っ、ーーーっ!!!」

1度の排出では収まらない。
武蔵の慣れた指の動きは続けて数度の射精を促す。
「ひっ……、ぁあっ、あっ、やめ、ろっ……!!」

腹の筋に力がこもる。中で暴れる熱い物を吐き出すために硬直する。
止まらない。
止めたく、ない。

息をつめて尻を浮かせ、硬直したまま尚も揺れた。
吐き出す勢いが、意識をくらませるほど気持ちイイ。
今までに感じた事がないような、強い絶頂が何度も襲う。
耐えられない程の強い波に、下肢の強ばりが長く続く。

見られている。
見られてしまった。
武蔵の手だけで、射精する様を。
こんな場所で。
周知の顔ぶれの中。

見られている。



見せている。
視線を感じながら、射精している。



苦しい程の筋肉の収縮。
持続しきれず、腹が揺れる。
限界を超えても尚、沸き上がる焦りが腹を内から押し続ける。
初めて味わう衝動を、失いたくなく腰を揺らす。

言い寄って来ていた5人の目の前で自分がどんな痴態を曝しているのか。
彼等がそれをどう見ているのか。
ちらりと考え、愉悦が走った。

全てを吐き出した後も尚、余韻の中で硬直し、その後ヒル魔は気を失った。
何もかもを白く飛ばして、武蔵の腕の中にくにゃりと崩れる。

何が起きるのか、この先一体どうなるのか。
考える事など出来る訳がなかった。


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続きは、アンハッピーエンドです。
なんかひたすら武蔵が酷い人なんで、それが平気な方はどぞ。>


やまだ