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ムサシさんとヒル魔のおうちは今日もにぎやか。楽しそうに笑う二人の間で、二匹の小さな毛玉が走り回ります。
チーターのセナと、ピューマの陸です。小さな頃から何かと面倒を見てくれたヒル魔に、とてもなついているのです。 ふっさりとしたしっぽにじゃれたり、飛びかかったり、大忙し。そんな様子を見守るムサシさんにも、2匹はとびかかります。大きな背中は彼らにとってとびきりの滑り台です。 あぐらをかいた膝によじ登り、慎重に肩に飛び乗って、どちらが速くすべり降りるのかを競争します。
とてもにぎやか。みんなが笑顔の夜が過ぎます。
けれど。 本当は。
近頃、ヒル魔は彼らが苦手でした。 ムサシさんと一緒に暮らすようになってから。何かと彼らはこの家にやってきます。せっかく二人でいられる時間をじゃまされるのはおもしろくありません。 さらに。 2匹はムサシにじゃれるのです。森の子供達は、優しいムサシさんが大好きですから、仕方がないとはいえ。 大きな背中も、びくともしない腕も、顔を近づけるとごりごりするあごひげも、全部、ヒル魔の特等席です。よじ登ってはころころと転がり落る2匹に、ムサシさんが手を差し出します。ころんと床に転がって、今度はヒル魔にとびかかろうとしたセナの背中を、ムサシさんが捕まえます。ひょいと持ち上げ、頭の上へ。その間に陸は腹の陰から、腕の脇から顔を出し、ムサシさんの腕をひらりひらりとかわします。勢い余って脚の隙間に顔をつっこみ、転んだ所で捕まります。ムサシさんも、楽しそうです。 悔しいぐらいに、楽しそうです。
ヒル魔はおもしろくありません。 でも、ムサシさんがあまりに面倒見が良いのです。楽しそうに、2匹と遊んでいるのです。 つまらない顔をすることもできません。だから、ヒル魔も笑います。
けれど。 本当は。
ムサシさんは2匹が苦手でした。 何かとヒル魔の後ろにくっついている彼らの事は、前からよく知っていました。 南国育ちの2匹は、寒い寒いとヒル魔にくっつきます。そのふかふかのしっぽにかみつき、毛皮にもぐりこみ、お腹に、背中に顔を埋めます。ヒル魔は、邪険にあつかいません。 面倒くさそうに、ふん、と鼻をならしてさせるがままです。 最近、2匹はどんどん大きくなります。ヒル魔へじゃれかかる態度も変わってきています。ぎゅうと抱きつき、くんくんと臭いを嗅いでいます。とても丁寧に、ヒル魔の毛繕いをしています。そして、こちらをちらりと見るのです。 まるで、こちらの隙を伺っているかのようにです。
ヒル魔さんは気づいていません。 だから、余計に心配なのです。話せば、馬鹿にされるでしょう。考えすぎたと言われるでしょう。 ヒル魔にとって、2匹はまだまだ子供でしかないのですから。
だから、ムサシさんは必死です。2匹がヒル魔に近づかないように。 ほんのちょっとの隙をぬってヒル魔にとびかかる小さな獣に気を許せません。 このごろ、本当に油断ができない2匹なのです。
ムサシさんのおうちは、今夜もとてもにぎやか。 みんな、とても楽しそうです。
20050413
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やまだ
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