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画鋲
最近ムサシの元気が無い。 弱り癖はあいつの悪い所の一つだ。 無視して笑って切り替える事が出来ないからだ。 とてもわかりやすい大バカは、落ち込むととる行動は2つ。 一人で落ち込んで、俺に構わなくなるか。 外にも出ないでひたすら俺に盛って来るか。
今回は、前者。まるでおびえるみたいに、俺に気を使う。 起こらせる事もしない。勝手に夜中に乗りかかっても来ない。 叱られる事もないし、体に負担がかからない事は良い事だ。
けれど。 何か物足りない。
バカが頭使ったってしょうがねえだろ。 お前は、考えたってロクな答えを出せないんだから。 いつもみたいに動いて答えをみつけりゃいいだろ。
いつもと違う武蔵の動きは、こっちまで不安にさせる。 早くいつものあいつに戻ればいいなと思って。 ヒル魔は味噌汁を碗によそった。 手の中の小箱の中身をざらりとぶちこむ。
これで、多分あいつは俺に怒鳴り付ける。 いつもみたいに、馬鹿みたいに俺をかまえばいいんだ。
そうじゃないと。八つ当たりも出来ない。 こっちのリズムも狂いはじめる。
お前は、な。 食卓について、武蔵の前に画鋲の入った碗を置く。
馬鹿みたいに俺に盛って、いつもみたいに腰を振ってりゃいいんだ。 怒って、笑って、俺を甘やかして。 いつも俺だけに欲情してりゃいいんだ。
素知らぬ顔で、食事をすすめながら武蔵をちらちらと観察する。 早く、いつものお前に戻ればいいと。 そう思いながら。
やまだ
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