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2000年04月05日(水) 画鋲

画鋲

最近ムサシの元気が無い。
弱り癖はあいつの悪い所の一つだ。
無視して笑って切り替える事が出来ないからだ。
とてもわかりやすい大バカは、落ち込むととる行動は2つ。
一人で落ち込んで、俺に構わなくなるか。
外にも出ないでひたすら俺に盛って来るか。

今回は、前者。まるでおびえるみたいに、俺に気を使う。
起こらせる事もしない。勝手に夜中に乗りかかっても来ない。
叱られる事もないし、体に負担がかからない事は良い事だ。

けれど。
何か物足りない。

バカが頭使ったってしょうがねえだろ。
お前は、考えたってロクな答えを出せないんだから。
いつもみたいに動いて答えをみつけりゃいいだろ。

いつもと違う武蔵の動きは、こっちまで不安にさせる。
早くいつものあいつに戻ればいいなと思って。
ヒル魔は味噌汁を碗によそった。
手の中の小箱の中身をざらりとぶちこむ。

これで、多分あいつは俺に怒鳴り付ける。
いつもみたいに、馬鹿みたいに俺をかまえばいいんだ。

そうじゃないと。八つ当たりも出来ない。
こっちのリズムも狂いはじめる。

お前は、な。
食卓について、武蔵の前に画鋲の入った碗を置く。

馬鹿みたいに俺に盛って、いつもみたいに腰を振ってりゃいいんだ。
怒って、笑って、俺を甘やかして。
いつも俺だけに欲情してりゃいいんだ。

素知らぬ顔で、食事をすすめながら武蔵をちらちらと観察する。
早く、いつものお前に戻ればいいと。
そう思いながら。






やまだ