|INDEX|西部|
オフライン|欲|携|
舌で撫で上げる程に、固さを増すそれをヒル魔は喉まで大きく飲み込んだ。唇を這わせた軌跡に赤い跡が残るのが面白くて、何度も角度を変えてキスを繰り返す。頭上から武蔵の息を呑む音。発情している息遣いは、腹這いになったヒル魔の腹を震えさせた。 けっこう、来やがるもんだ、な。 ヒル魔の指と舌が追い立てる程に、荒く揺れる息。男の息と、ヒル魔の息。触れられてもいないヒル魔の身体は、とうに熱を持っている。脚の間で床に押し付けられ、刺激を与えられない事にずきずきと不満を訴えた。 口の中のものは、十分な形と固さを保っていた。
こいつに、突っ込まれてぇ。
好きなだけ、腰を振ればさぞ気持ち良いだろうと考えて、鼻で笑った。 ヒル魔の刺激だけで、武蔵は指の間から声を漏らす。いつもなら聞き流す程度のその息遣いに、頬がゆるんだ。武蔵の股間に腹ばいになって顔を埋める自分の姿を想像し、ぶるりと身体が震えた。 ボタンさえはずさず。 触れられる事も無く。
ヒル魔は、ただ舌を動かす自分に欲情していた。 雄にからめる指先の赤。 綺麗に塗られたエナメルの反射。 唇から男へと色うつりする紅の赤。
---
大会も、順調に進んで明日は3回戦。対独播スコーピオンズ戦だ。負けるつもりはしなかったが、何かもう一つ趣向をこらしたいと思った時、たまたまそれが目についた。単なるひらめきのだけの馬鹿馬鹿しい方法。その分相手に与える虚脱感とインパクトの大きさを想像してヒル魔は口端をゆがめた。 放課後、教室内で今年の新色だの新製品だのの話題に花を咲かせる一団に声をかけた。 難無く、いらないと捨てられかけていたそれを譲り受ける。 かわりに、と言われた小さな提案。 断る理由もみつからなくて、両手を彼女達に差し出した。そこに群がる、いくつもの指と手。 細くて華奢だと口々に誉めながら、小さなはけが小刻みに爪の上を動いてゆく。わずかな時間で綺麗に装飾された指先は、そこだけ性別を変えたような錯角をヒル魔に与えた。
ふとした仕種で、目に赤がちらつく。そこに、女達が秘めている「性の主張」を見ている気がした。私はここにいるのだと。あなたをつかまえたいのだと。呪いにも似た粘つく囁き。 そんな正直な主張は、少なくともヒル魔には好意的に写る。言葉で言い訳を繰り返し、無自覚とあつかましさに上塗りされた物よりも、それはずっと正直でシンプルなものなのだから。
見つめているうちに、ヒル魔はふといつもの顔を思い出し。 通り過ぎるつもりの駅で、電車をおりた。
----
初めに指を見せつければ女みたいだなと言われ。次に見せた口紅で呆れたようにどうしたと問われた。 彼女達がいらないと言った気持ちも分かる程の、強い赤を。唇に近付ける。 片眉をあげて、おまえほんとにどうしたんだと問われる前に。色ついた唇を、強引に押し付けた。
試合の直前には、自然と禁欲的な生活になる。スタミナ温存というより、他に意識が回らないのだ。 熱く高揚する身体は、試合のフィールドで発散させる以外の道を求めない。それでも。 今日に限って。身体が疼くのは、どうしてだろう。
唇を離すと、武蔵の口にべったりと付着した赤。 倒錯的な気分に突き動かされて、何度も唇を落とした。 濃く、薄く、赤が散っていく武蔵の顔。 ヒル魔が武蔵に触れた足跡。
見ているだけで、気持ちが良かった。腕の中の男が、自分の物だと印をつけているようで。 赤が掠れて、再度ヒル魔は唇に紅を塗った。 シャツをはだけ、ゆっくりと舌をその肌に下ろして行く。 指で外へ引き出した場所へ顔を埋め、次第に固さを増すそれに、何度も赤く、口付けた。
----
いつもとは違う趣向をこらした触れ方に、武蔵の息の上がりが早い。 見られている、とヒル魔は思った。 指の絡みを見せつけるように、顔を反らして笑ってやった。 「女と、してるみたいだろ?」 照れたように顔を反らす目元が、赤い。紅の色では無い、肌の赤さ。 指で先端をぐりぐりとこねれば、呻くように喉を反らす。 いつもなら、武蔵の表情を味わう程の余裕は無い。 ただ、自分を追い立てる武蔵の動きに酔っているだけ。 見上げる視線に気がついたのか、ぐいと頭を押し付けられた。 視界の中で、武蔵を追い立てる女のような指。 ところどころに人工の赤をつけた武蔵の雄が、その刺激に反り上がる。 股の内側や、へそにさえも蛭魔の唇が這った跡が残っている。 あちこちに散らしたその、一つ一つが武蔵への主張。
これは俺の物だと。 お前を捕まえているのだと。
お前を、手放さないという。 赤い主張。粘ついた囁き。 声にならない、蛭魔の言葉。
[赤いヨードチンキ]
ムサ、クレンジングとか持ってねえだろ。 20050519
やまだ
|