大学時代に属していた出版会の同僚・Tが相談を持ちかけてきた。
Q:自分は今ファンタジーを書いている。何か話作りのコツはあるか?
それに対して僕はこう答えました。
A:ファンタジーに限ったことじゃないけど、主要キャラごとにストーリーやテーマ、あるいはこだわりごとを設定しておくと話を盛り上げやすいぞ。
他にもいろいろ質問が飛んできます。
Q:全体的に薄味な物語に濃い味付けをするにはどうすればよいか? また、戦闘パートが上手く書けないのだが、魅力的な戦闘を書くにはどうすればいいか?
A:物語を濃くしたければ自分の哲学を物語に組み込むことです。何か一つの疑問を挙げて、その答えを探すイメージでストーリーを展開させるのがコツ。 それと、悪役を飛んでもなく憎たらしくするか、あるいは魅力的に書くのも有効でしょう。それにも哲学が必要です。
戦闘を面白くするには敵の強みを前面に押し出すことが基本です。何が厄介なのかを明確にして、それを攻略する形で進めるだけでかなり面白くなります。 戦闘では「因縁」も重要です。なぜ戦うことになったのか、相対する二人の何が違うのか、お互いに何を貫こうとしているのかをしっかり意識して書くこと。つまり、ストーリの書き方ともかぶりますが、ここでも哲学が重要な役割を果たします。
これこそ「言うは易し。行うは難し」ですが。
僕はあとがきを意識して書くようにしています。「この場面で、あのことで劣等感を感じていた彼はこう感じた」みたいな物語の裏を考えて書くとか、演出に凝るのもいいと思います。 「あとがき」でバラしたいネタが多いほど物語は濃くなるというのが僕の持論です。
Q:ヒロインに色気と恥じらいを与えるにはどうすればよいか? 思いつきと行き当たりばったりで書いているのだがそれではダメか?
A:色気とか僕のキャラにあった試しがないぞ(汗)。思うに外見の描写ではなくて、仕草や言動といった「様子」で表現したほうが上手く色気を出せるんじゃないかと思うんだがどうだろう。
それから話は無計画で進むとわけのわからない方向に行ってしまって、書ききるのが難しくなるから、いくつかのポイントと最終的な展開は明確にしておいたほうがいいですよ。
……一体、何様なんだ僕は。アクセス数が50前後で、統計的に魅力的な小説が書けているとはとても言えない状態なのに。 せめて、どこかの小説技法サイトに乗っていることを参考にして答えればよかった。
それでも、答えた内容は、長年小説を書いてきて、自分で出してきた答えであり、全くのでたらめや嘘ではないと思う。 僕は、なぜこの小説は面白いのか、あるいは面白くなかったのかをつねに考えている。そしてその行為は、今自分が独自に身につけている小説技法のいくつかに結びついているのである。
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