言の葉孝

2006年08月28日(月) 僕は殺人者になっていた。

 世間的に忌み嫌われる月曜日の朝は非常にゆっくりとしたものだった。
 外出の用事は入ってはいるが、15時からで、13時までは自分の時間だ。俺としてはゆっくりできる夜より、ゆっくりできる朝のほうが嬉しい。小説を書くのもなぜかはかどるし、気分的に充実した時間をすごすことができる。
 それがなぜ夜にできないのか、それは明確に分からないし、今はあまりそのことについて考察するつもりはない。

【本を補充しに図書館へ行く】

 図書館で借りた本のうち、読んでいないものが残り2冊になった。基本的に土日に借りたり返したりするのだが、土日はバイトが入っているのでできないし、これからモモサポの仕事で忙しくなりそうだ。時間のあるうちに読んだ8冊だけでも交換に行くことにする。

 ちょっと読んでみたかった本があったのだが、長らく欠けていた『まじしゃんず・あかでみぃ』の2巻が戻り1〜6巻までそろっていたので借りることにした。借りた主は3巻を借りなかったのだろうか。
 しばらくは“まほゆめ”にかかりきりになることだし、読むならファンタジー系の方がいろいろアイデアも湧くことだろうと思い、ちょっと読んでみたかった本5冊はあきらめてそちらをとった。あと2冊借りられるが、それは適当に選んだ。


 残り時間は“まほゆめ”の最新話を書き進めてすごした。


【バイトの研修に行く】

 あまり詳しく述べた記憶がないので、ここで述べておくが、俺のバイト先は派遣会社である。メーカーから依頼を受け、電気店へ販売員を送り込み、そのメーカーの商品を率先して売らせるというのが、その派遣会社の業務だ。
 始めたころは、販促業務とはいってもきぐるみを着て愛想を振りまくだけだが、後の仕事は実際に販売員として店頭に立ち、商品の説明などを行う客商売である。

 つまり商品知識や接客のための研修が必要なわけで、今日はその研修である。この研修自体にはもちろんバイト代はおろか交通費さえ出ない。こういう土日に一日働いて日給一万円強なので、自給に換算すれば悪くはない稼ぎかと思いきや、こういった拘束時間も考えると普通以下だったりするのである。
 今回はとあるメーカーのデジカメを売るための研修なのだが、派遣先の電気店について不穏な噂を聞いた。

 曰く「社員がたくさんいるが、その主なは販売員たちの監視である。しかも偉そう」
 曰く「売り逃しに厳しいので売りのがすと、あとでどうして売り逃したか報告書を書かされる」

 挙句の果てに「昼食の後に、歯を磨くために歯ブラシを持っていかなければならない」という。

 不安だ。
 前に同じようなバリバリの量販店でデジカメを売ったときには2日目の朝礼に出席した際に、ぼーっとして店長の話を聞いていなかったのを見咎められて追い出されたという苦い経験もあるのでなおさらである。


【読破:『ボクのセカイをまもるヒト』(谷川 流・著/電撃文庫)】

 バカっぽいドタバタのコメディを期待していた。その点の期待は外れなかった。
 しかしこの著者の代表作である『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズに比べて格段に質は劣る。とはいえ、シリーズ物の第一巻ということでさっぱり疑問のとかれる余地のない展開だったからだろうか。
 とにかくその直後に読んだモノの印象があまりにも鮮烈過ぎて特に語るべきものはない。


【読破:『永遠のフローズンチョコレート』(扇 智史・著/ファミ通文庫)】

「あたしは人殺しなの。いままで、三人殺した」

 あたしたちが何を望んでも、
 世界は世界の都合でしか動かない。
 あたしたちのささやかな永遠も、
 血も涙もない時間に踏みにじられる。
 不死の少女と出会った、殺人者の少女とその恋人。
 奇妙な三角関係が織りなす
 変わらない日常のリアル―――。

(裏表紙あらすじより引用)


 同じくオンライン上で小説を書く仲間の幾人かが読後感をmixiなどで興奮気味に語っていた。
 上に引用したあらすじは知っていたし、表紙を見た瞬間から、僕はこれを読むのに覚悟がいると思っていた。

 あとがきによると、これはもともと出版するために書いていたものではないらしい。
 それだけにエンターテイメントとしてはいささか問題の残る話だった。というのも、主人公たちの状態や心境は、始まったときと終わったときだけを比べれば微妙にしか変わっていないし、結局わけの分からないまま物語が終わった感じがするからだ。

 だが、作品の中で主人公たちの、特に主人公である殺人者の少女の心は激しく揺れ動く。それが何にも邪魔されることなく、ストレートに現されており、読者の心に働く引力は非常に強かった。僕は電車の中で読んでいて、完全にその世界に引き込まれ、現実世界のことをほとんど意識できていなかったくらいである。(乗り過ごさなかったのは奇跡のようなものである)

 この殺人者の少女を描いた小説を読んでいる間、僕は殺人者になっていた。
 もともと僕は本を読むとき、非常に強く主人公に感情移入をする。特に、この作品はその感情移入度を高める効果が強く、僕はほとんど主人公と本の中の世界で存在が同化していたのである。

 この作品は人によっては「アブない」「訳分からない」で途中で読むのをやめてしまうかもしれない。だが、人によっては最後まで目が離せなくなる、そういう作品だと思った。

 僕としては非常に良質な作品だと思う。


【この日記について】  

 今日から日記の趣向を変える。
 というのも、最近はネタと主張だけの日記で、まず読んでもらうために書いていた文章だったが、それでは日記と呼ぶのは無理がある。

 もうコメントレス以外は丁寧語に取り繕うこともしない。
 上記の『永遠のフローズンチョコレート』を読んだ直後から自分の感情があふれ出してくる。これを直ちに文章化したかったが、これを丁寧語にとりつくろうと、感じたそのままには表現できないことは分かってい。
 そして、自分を正直に出すためには、今後もあまり丁寧語に変換するのは良くないと思う、それが理由である。





web拍手レス(ここから下はいつも通り。一人称が「俺」の部分と「僕」の部分があるのはそのときの気分で変えているからです)

 今日の拍手コメントは無し。

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