1人と1匹の日常
2006年04月13日(木)  この春、始動する。
私の病気は、この先、医療の進歩を切に願いますが、ずっと(できるならば仲良く〜♪)お付き合いする病気です。
ですから、在宅で暮らす毎日の中には、医療や看護、介護のケアスタッフとの、よりよい関係を築けることが、とても大切だと感じています。

この多発性硬化症という病気を患ってから、早くも10年が経ちました。
その間、街のバリアフリーも、在宅医療や在宅介護も、随分、前進的に変わりました。

私が高校1年生の頃、父方の兄宅で、祖母を在宅で看とりました。
当時は、まだ介護保険制度もない時代で、親族交替で、寝泊まりして、介護をしました。
遊びに行くと、居間に置いたベットで横になっているおばあちゃんが、「よう来てくれたなぁ〜。」と手を握ってくれました。
今も、皺だらけのおばあちゃんの細い手を、布団から出したばかりの、ポカポカの温もりを思い出します。

あの日、私は怖くて、おばあちゃんを見送ることができませんでした。
煙となって天に昇り、白い骨となったおばあちゃんの遺骨を、私は見ることさえできなく、外でただ1人ジッと立って、そよぐ風に当たっていました。
15才だった私は、おばあちゃんに「さようなら」を言えませんでした。

もっとおばあちゃんに、会いに行けばよかった…。
生きてる間に、おばあちゃんの声を、もっともっと聞きたかった…。
人が老いることも、死ぬことも、まだ、考えもしなかったあの頃。
おばあちゃんは、毎日、どんなことを思い、どんなことを感じ、あのベットで、過ごしていたの…?

おばあちゃんが、今の時代に暮らしていたなら、もっと充実した介護を受けられていたかもしれません。
おばあちゃんを介護していた方も、もっと楽に一緒に過ごせていたかもしれません。

自分自身が、介護を受ける側である当事者になって、初めて見えたものがありました。
どんなにサービスを充実しても、補えない人の「心」の部分。
人を支えることは、物理的なサポートのみでは、不可能なのです。

新年度が明け、介護保険、障害者自立支援法など、障害を持ちながら生きる人の暮らしを支えるサポートが、新たに改正され、今月から始まりました。
障害自立支援法は、原則1割負担と、サービスの利用の仕方が大きくて変わりました。
これからも、年を重ねても、障害を持っても、社会の一員として、地域で暮らし続けたいと、個人のそれぞれの意思を、大切に尊重する社会であって欲しいと、切に願っています。
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