石川県で一通り新居を借りる手続きを終え、その足で実家に帰った。
一仕事終えたという充実感もあったが、疲れもあって、実家につくとぐったりとソファーに腰掛けた。
そうこうするうち、買い物に出かけていた家族が帰ってきた。 姪っ子も一緒だった。 姪っ子はまだわずか6歳である。
僕には妹もいるが、妹も姪っ子もニンテンドーDSで遊びだした。
僕はそんな妹たちを「気楽でいいな」とうらやみながら呆けたように見つめていた。
すると、姪っ子が「これやって」とニンテンドーDSを僕に手渡してきた。
いわれるがままに僕は操作する。
そのゲームがどんなゲームか知らなかったが、小さな頃ゲームをたくさんやったおかげで、大抵のゲームなら説明書を読まなくてもできる。
しばらくして姪っ子にニンテンドーDSを返し、僕はまたぐったりとした。
僕にも、こんな風に将来のことを何も考えないでよかった頃があったのだ。 と、妹たちを見て感慨にふけった。
戻りたいとも思わないが、うらやましくはある。
今の僕は将来のことで不安ばかりだ。
輝かしい未来を信じられなくなりそうな自分を支えるだけで精一杯の自分。
どこかへ逃げ出したい気持ちを抑えるので精一杯の自分。
楽しげにニンテンドーDSで遊ぶ妹たちとは大違いだ。
やめよう。 大人なら、僕みたいになってある意味じゃ当然なんだ。 受け入れるしかない。
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