綿霧岩
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2017年09月10日(日)

はじめは「く」はまっすぐでした。

長い間、まっすぐでした。

あるとき、「く」は思いました。
「つまらない。」
まっすぐであることが、つまらないと思ったのです。

そのときから、「く」は曲がることを始めました。
少しずつ、少しずつ。

兎に角長い間まっすぐだったので、「く」にとって曲がることは、とても難しいことでした。


「く」から始まる言葉は
「くうき」「くつ」「くし」「くろう」「くき」「くるま」「くま」「くんだりーに」「くち」
などがあります。


あるとき、「く」は疲れていたせいか、勢い余って思いっきり曲がってしまいました。
すると、なんと「く」はまたまっすぐになってしまったのです。
「なんということだ。これじゃ何もしなかったのと同じじゃないか。」

そのとき以来、「く」はとても慎重になりました。

今では立派に毎日、毎分、毎秒ごとに、そのときに最も適切な曲がり具合を細かく調整できます。

「く」に出会ったら、ちょっと気をつけて見てみてください。
少しずつ少しずつ調整しながら、曲がり続ける「く」を発見できることでしょう。
まるで、不思議な回転をする時計の針みたいに。


カタギリミワコ |MAIL