経験者、とは。 - 2013年12月24日(火) 2ヶ月ほど前に入ってきた、新しい主婦のパートさんのお話。 パティシエ経験のある人なので、今私がやっているお菓子のアレコレを 彼女に伝達し、私は料理のほうに回ってほしい、という上司の意向を聞きました。 が。 経験者と聞いてはいたものの、正直『趣味レベル』でしかなく。 厳しい言い方をすると、商品としては使い物にならない。 経験者を売りにするのであれば、基本の生地やクリームくらいは配合を 見るだけで作れるレベルであってほしかったです。 ところがどっこい。 手取り足取り教えなければ何にもできない人でした。 それどころか基本というか基礎というかお菓子作りをする上での常識を ほとんど知らない人でビックリさせられることも多々あります。 スポンジ焼いてくださいと言ったところ、 「エー!?こんな大きなの、作った事なぁ〜い☆」 って言われました。 え、そんな大きくないですけど。 おうちで作る大きさの3倍程度ですけど。 ケーキ屋とかだと多分、コレのさらに3倍ぐらいで作るはずですけど。 経験者って言いますけど、どこでどんな経験してきたんですかと。 おまけに業務用のガスレンジの元栓の開け方知らないし、4升釜の炊き方 知らないし、ガスバーナーも使えないって言うし、ガスオーブンの点火の 仕方も知らない。 そういうの、初心者って言うんじゃないですかね(笑) 私よりだいぶ体が小さいから、アレが届かないだのコレが重くて持てない だの蓋が開かないだの、その度に 「カロリィさぁ〜ん、開かないんですぅ〜。助けてくださぁ〜い♪」 と言って、私の仕事を中断するわけだ。 そんなブリッコ、男にやれよ。 アタシにすんなよ。 って、内心思いつつ笑顔で対応(*´∀`*)(鬼) で、クリスマスの準備もだいぶ目処が立ってきたんで、彼女にまたスポンジ 作りを託したわけです。 2〜3回めかな。 まず材料の計量の段階で、生卵に直接ザザザッとグラニュー糖を投入。 で、すぐ混ぜるなら何の問題も無いんですけど、その状態で軽く30分以上は 放置し、他の材料をせっせと計量。 何がアカンかというと、卵(とくに卵黄)って、ものすごく砂糖を吸着 するんですね。吸着するとどうなるかっていうと、いわゆる「ダマになる」んです。 卵が一旦ダマになると、それが溶けることはありません。 ダマが大きくなることはあっても、小さくなったり溶けてなくなることは 絶対にないのです。 エライことやっとんな〜と横目で見つつ、私は何も言いませんでした。 だって、失敗はしてみなければ分からないと思ったから。 口で「ダマになるから」と言われても、多分ピンと来ないんじゃないかと。 他の材料を計量、つったって作るのはスポンジです。 材料なんて、5種類ほどしかありません。 それを計量するのにたっぷり30分以上かけ、やっとのことで生地作りに とりかかっていました。 とにかく仕事が遅い彼女です。 今日は、途中での口出しは一切しませんでした。 どんな失敗をするか見たかったから。 いや、意地悪ではなくて、純粋に 「全卵にグラ糖を入れて30分放置した後泡立てたらどうなるか」 を知りたかったというのが大きいです。 そんなやり方見たこともやったこともないから。 結果から言うと、やっぱり膨らみはイマイチ。 ダマにはなってませんでした。 オーブンに入れて15分経過したとき「どうでしょう?」と見せられた スポンジは、明らかにオーブンの温度が低かったであろう状態でした。 なので 「まだまだですね。もう10分入れましょう」 と言い、私は他の仕事をやっていました。 そして私がトイレに行って帰ってきたときには、スポンジはオーブンから 出されていました。 「ちょっと早いんじゃないかな…」 と思いましたがそこも口出しせず。 冷めた頃に保管するため真ん中でカットすると、案の定生焼けでした。 「いやぁ〜〜〜ん、ショックぅ〜〜〜。゚(PД`q*)゚。」 言うてたけど、私的には 「やっぱり」 と思っただけでした。 でもそれも、失敗しないと分からないからね。 いくら口頭で説明されて分かったつもりになっていても、 「こうなったから、失敗したんだ」 「あれが原因で、こういう結果になったんだ」 っていうのはやっぱり実際失敗してみないと分からないもんだと思うのです。 なので今日はあえて失敗させました。 エラそうですか私。 計量の段階から失敗の予感満載でしたが、助け舟は出しませんでした。 求められれば出したかもしれんけど、求められてないし。 以上、パートの主婦の人のお話でした。 こっからは、20代前半ぴちぴちフレッシュ女子のお話です。 この子は、他店舗からのヘルプとして来てくれている、本来はキッチンでは なく別のセクションの子です。 お家ではお料理もお菓子作りも趣味でやるけれど、仕事でやるのは初めてっていう。 しかしこの子がですね奥さん。 すごく真面目で、きちんと仕事をやる子なんです。 もちろん、初心者ですから至らない点はいっぱいあります。 でも何故ダメだったかを自分で考え、それを私にぶつけてきて 「私はどうすれば良かったですか」 とアドバイスを求めてくるのです。 私は、人によってやり方は色々あるけれど、と前置きした上で失敗した 原因を伝えます。すると彼女は 「分かりました。次は気をつけます」 と言って、その次にやるときは必ずそこを修正して100点に近づけてくるのです。 同じ失敗は二度としません。 厨房の中を見渡して、気付く限りの、考え得る限りの仕事を見付けては 終らせた上で、 「次に何をしたらいいですか」 と私の指示を仰ぎます。 途中、分からなさそうにしたり考えあぐねているような風も見えますが、 それも解決できる限り自分でやった上で、 「カロリィさん、ここまではできたんですけど、これが分かりませんでした。 教えてください」 と聞きに来ます。 何かもう、感動すら覚えました。 今どき、こんな若い子いるんだ!?と。 さすが二十歳そこそこの初心者は、まるで乾いたスポンジのようにグングン 吸収していきます。 そして、一度言ったことは忘れない。 同じ失敗も二度しない。 素晴らしい。 この一言に尽きる。 この子は将来、今お付き合いしている彼と結婚して、一緒にレストランを 開きたいのだそうです。 さすが。 将来の展望がある人は、ポテンシャル高いわ。 モチベーションも違う。 いいなあ、彼女。 私に人事権あったら絶対引き抜くわ(笑) 彼女に仕事を教えるのは楽しい。 上に書いたパートの主婦に教えるのは楽しくない(苦笑) ...
|
|