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2023年12月01日(金) LINEの返信が遅れる理由

バスに乗っていたら、後ろの人の会話が聞こえてきた。
「秒で返したのに既読がつかないってどういうこと?自分が送信した瞬間にトーク画面を閉じてるわけ?」
「いるよねー、いまのいままで携帯触ってたのになぜか一時間も二時間も未読のままになる人。ぜったいわざとだよ」
LINEの通知がきたからその場で返信したのだが、既読にならない。たった数十秒のあいだにスマホを置いて別のことをしはじめたとは思えないから未読無視にちがいない、と憤慨しているのだ。

「Twitterが更新されてるのにLINEは朝になっても既読ついてなかったから、ぶちギレて送信取消したわ」
「こっちの都合とかなんにも考えてないよね。そういう人なんだよ」
その剣幕に思わず身をすくめる。私も返信は決して早いほうではないから、なんだか自分が怒られているみたいだ。
降車ボタンを押しながらちらりと見たら、制服を着た女子高生だった。しかし、返信の待ち時間に敏感なのは若い人だけではないかもしれない。
先日テレビで、プロゴルファーの古閑美保さんが“生活の中でイラッとくること”というお題に「一日経ってもLINEの返信がないこと」と答えていた。すると、作家の岩下尚史さんが「そんな無礼者とは絶交するしかない」とアドバイス。
二十四時間以内に返信しないとこんなふうに思われるのか!と驚いた。口に出さないからわからないだけで、返信を待ちながらイライラしている人は実はけっこういるんだろうか。

私はスマホでゲームをしたり音楽を聴いたり動画を見たりすることがない。ここにアップする文章をスマホで書くこともない。
よって、リアルタイムでLINEを受け取ることはほとんどない。それだけに、できるだけ早く返信しようと思う。届いてから読むまでに時間がかかっているから。
……だけれども、いち早く通知に気づけるようこまめにスマホをチェックしようとまでは思わない。通勤電車の中や夜勤の仮眠時間に慌ただしく返事を書くこともない。私にとってLINEはメール寄りのものだから、手が空いたときに返信させてもらっている。
しかし、それをチャットの感覚で使っている人は「受け取ったらすぐに返すもの」という認識で、「返信が遅いのは理解できない、ありえない」となるのかもしれない。

タレントの北斗晶さんがある番組で、
「LINEを送ってもなかなか返事がこない人がいる。翌日に『昨日は仕事が忙しくて……』と届くと、『うそつけこの野郎!一日LINEを見ねえなんてことあんのかい!』と思う」
と怒っていた。
「大変なのはわかるけど、二十四時間働いてるわけじゃないんだから」
ということなんだろう。うん、たしかにどんなに忙しくてもスキマ時間はある。
だけど「だったら返信できるでしょ」は違うよな、と思う。
スマホを触ることはあってもLINEを見る余裕まではないとか、いまはYouTubeを見て息抜きしたいとかいうことは誰にだってあるだろう。私などハードな勤務がつづいているときは、子どもの学校の連絡アプリすら立ち上げるのが億劫になる。

仕事中は常に視界に入るところにそれを置き、食事中も画面の上で指を動かし、外を歩くときも手放さない。もう体の一部になっているんじゃないかと思うくらい、四六時中スマホを触っている人をときどき見かける。北斗さんもLINEやTikTokで毎日十二時間近く使っているそうだ。
しかし、誰もがスマホとその距離感でいるわけではない。それがマナーであるかのように二十四時間以内の既読や返信を求めるのは無理があるんじゃないだろうか。
仕事や家庭を持っていたら、“それどころじゃない”ときはいくらでもある。そのことをぜんぜん考えていないんじゃないの。
だから、自分のことしか頭にない残念な人間のように言われると、あ然とするのだ。

【あとがき】
スケジュール絡みだったり締め切りがあったりするLINEには即座に返信する、それは言うまでもない。でもそうじゃないLINEの返事、とくに長くなりそうなときは家に帰ってからパソコンから送ります。私、とにかくスマホの文字入力が苦手なんです……(時間がかかって誤字だらけになってイヤになる)。