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2007年12月18日(火) 風邪を引かないための一番の方法

檀ふみさんのエッセイに、女優という仕事柄、自分はなにがなんでも風邪を引きたくないのだという話があった。
よって手洗い、うがいはもちろんのこと思いつくかぎりの予防策を講じている。が、そうしたところで一歩外に出ると風邪引きが野放しになっているのだからたまらない。電車の中で「コホン」とひとつ聞こえただけで別の車両に移り、鼻水をズルズルさせている人がいたら初対面でも「もしかして風邪を引いていらっしゃるのではないですか?」と露骨に嫌な顔をしてしまう……という内容である。

「風邪なのにこんなところに出てくるな!」というくだりに、思わず「ヒャッ、こわ」とつぶやいた私。が、「いやいや、このくらいシビアでないと風邪を引かないでいることはできないのかもなあ」と思い直した。
以前から思っていたのだ。アナウンサーが咳込みながらニュースを読んだり、歌手が鼻声で歌ったりしているのを見たことがない。いくら体調に気をつけているといったって、人間なんだから年に一度や二度風邪を引いても不思議ではない気がするのに。風邪菌をシャットアウトするプロの技でもあるのだろうか、と。
しかし、ビタミンCよりマスクよりさらに自衛になるのは「風邪を忌み嫌う気持ち」なのかもしれない。


咳、くしゃみをするときに口や鼻を押さえない人は少なくない。中には、人のいないほうに顔を向けるという最低限の配慮さえない人もいる。
……ということに気づき、嫌だなあと思うようになったのは実はわりと最近のことである。それまでは「きちゃないな〜!」と顔をしかめるくらいだったのだが、ここ数年で身内や友人の中に妊娠中だったり病気療養中だったりで余分な薬を飲めない人が立て続けに出て、他人に風邪をうつしたりうつされたりということについておのずと考えるようになった。ふつうの人にとっては「たかが風邪」でも、それを引くわけにはいかないという人も世の中にはけっこういるのだ。

「もー、最悪!」
友人がぷりぷりしながら言う。仲良しのママ友何人かと家でお茶を飲む集まりがあったのだが、うちのひとりが昨日までノロウィルスで寝込んでいたという子どもを連れてやってきたという。
そのママは「もう吐かなくなったから大丈夫」と言ったが、不安は的中、友人も彼女の子どももばっちりノロをもらってしまった。三日間、ひどい嘔吐、下痢に苦しめられたらしい。
「いくら前々からの約束で子どもが楽しみにしてたからって、完全に治ったかどうかもわからんのに遊びにくるかあ!?」
その状態で人に会おうと考えるとは私にはとても理解できないけれど、「誰かにうつしてしまうかもしれない」ということに思いが至らない人はたしかにいる。ここまで非常識なのはさすがに珍しいだろうが、もう一週間もゴホゴホが続いているのにマスクをつけようとしない人は私の職場にもいる。電車に乗ればヘークショイ!と周囲に飛沫を飛ばしまくっている人をしょっちゅう見かける。
人はもう少し「うつしたりうつされたり」ということに敏感になってもいいように思う。結局それが、風邪をはじめとする感染症を広げない一番の方法なのではないかしら。

昨日の読売新聞に「今冬はインフルエンザ大流行の兆しあり」という内容の記事が載っていた。全国の幼稚園と保育所、小・中学校から報告された患者数は昨年の同時期と比べて百倍なのだそう。
お互い気をつけましょう。

【あとがき】
咳やくしゃみをする時はティッシュかハンカチ、間に合わないときでもせめて手で口と鼻を押さえ、人のいない方を向いて……というのは当たり前だろうと思うんですが、正面を向いたまま盛大にする人もけっこういます。電車の中で後ろに立っていた人がくしゃみをして髪が揺れた時は、「勘弁してよー!」と心の中で叫びました。食事中に目の前の人にされると私はそれ以上食べられなくなってしまうので、親しい人だと本気で怒ります。ほんと勘弁してほしいです。